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日本は、女性の政治参画「後進国」から脱却できるか

明治大学 政治経済学部 准教授 木寺 元

男女の性の二項対立を過度に強調するべきではない

木寺 元 政治学者のハンナ・ピトキンは、代表の概念として、「権威付与理論」と「描写的代表論」などを挙げています。この二つを対比させるならば、「権威付与理論」とは、代表は秩序と安定のために強いリーダーシップをもち、迅速な意志決定を行うという理論です。一方、「描写的代表論」とは、代表は議論や討論を通して多様な人々の利害や意見を反映するという理論です。この二つのモデルを現実政治に当てはめて考えれば、例えば、外交や安全保障などが重要な議題となる国政においては、強いリーダーシップや迅速な意志決定が求められます。が、地方政治においては、むしろ、生活者の多様な利害や意見を吸い上げ、議論や討論を通してそれらを反映させていく代表が求められるでしょう。後者は、まさに女性が関心をもつ、医療や福祉、教育の分野の行政に合致する理論でもあります。とすれば、もちろん、国政においても女性の参画は必要ですが、まず、これらの分野の行政活動が中心となる地方政治において女性議員が増加し、「描写的代表論」を実践していくことは有効であり、その波及効果は大きいという考え方もあるでしょう。

 もちろん女性議員の増加は、まさに多様な民意を反映させていくことになると思いますが、一方で、男女の性の二項対立を過度に強調することは避けるべきだと考えます。例えば、近年、自分を男性か女性のどちらかで捉えるのではない、性のあり方が認知されはじめています。もし、人口比から議員数を男女半々にするという論理であれば、いわゆる性的マイノリティといわれる人たちの中からも人口比に応じた議員を出す必要があるという議論になります。また、フランスでは、小選挙区の候補者は男女半数、比例代表の名簿は男女交互記載で同数と定められ、違反した政党は助成金が減らされるという罰則がある、かなり厳格な候補者男女均等法である「パリテ法」が制定されていますが、制定を巡っては、市民に性差はあるのか、という論争になりました。私も、男女半々ということにこだわりすぎると、それは性の二項対立を招くことになると思います。「描写的代表論」にあるように、代表は性差を反映させるのではなく、利害や多様な意見を反映させるのです。政策の争点は、性差だけではありません。私たち有権者は、その点を常に留保しておくことも大切です。

 最後に、ニュージーランドの例を。アーダーン首相は在任中に出産し、6週間の育児休業をとりました。その間は、副首相が首相代行を務めましたが、この一連の対応よって内閣支持率が下がるようなことはありませんでした。女性の政治への参画を支援する制度に、国民のコンセンサスができているからなのでしょう。社会を変革していく制度が根付いていくか否かは、やはり、有権者である私たちが握っているのです。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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