AIを活用した需要予測など、火力発電所の運用面の改善が最適化の要
電力システムにおいて、発電量と消費量を常に一致させるために行われる「需給運用」では、電力需要がどのように変動するかを予測する技術がキーになります。予測の技術にはAI、たとえば人間の脳にある神経細胞(ニューロン)の仕組みを模倣した数理モデル「ニューラルネットワーク」により、過去のデータからパターンを学習し、予測を行う機械学習などが挙げられます。「この条件であれば、こういった電力の使われ方をする」と予測ができれば、さまざまな発電方法を最適な形で組み合わせていく検討も可能です。
発電の効率化、温室効果ガスの低減をめざすには、AIによる予測を活用しつつも、さまざまな技術を複合的に組み合わさなければなりません。システム工学の制御技術や経済的知見、昔からある最適化の手法も必要となってきます。現在の市場では、各自がさまざまな電力会社から電気を購入できるようになっており、需給の構造そのものも変化していますので、より複雑な要素が絡み合っています。
電力会社側でも、短時間であれば送電線に多めの電流を流す試みを始めています。従来の送電線には、何アンペアまでしか流せないという厳格な制限があったのですが、「今日は風が強く送電線を冷やしてくれる状態だから、流す電流を少し多めにしてもいい」といった具合に、制約条件をフレキシブルに緩和させるダイナミックレーティングの考え方が現実的になりつつあるのです。自然条件に合わせ、ある程度の柔軟性をもたせれば、より運用もしやすくなります。
さらに熱を使った発電には、熱力学的にどうしても効率の限界があるので、電気に変換したあとに、うまく制御することも大事です。先に蓄電池の導入量が充分ではないと述べましたが、もちろん研究開発は進められていますし、停車中の電気自動車を蓄電池がわりに利用するプロジェクトもいくつか走っています。火力発電では対応しにくい細かい制御を電池で行うなど、さまざまな手法を組み合わせることで、最適化に努めているところです。
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