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2026.02.26

異文化チームにおける価値創出を実現する次世代型グローバルリーダーの条件 ― 国際比較研究にもとづく「知識型リーダー」から「共創型リーダー」への転換 ―

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グローバル人材育成に求められる垂直的・水平的展開

 さらに、2025年度は、経営学部における学内共同研究の一環として、新たな研究テーマ「グローバル企業におけるサステナビリティ経営の動的平衡の可視化-日英比較によるBSTモデル分析とAIテキストマイニングの適用-」が国際共同研究プロジェクト支援事業に採択され、英国の大学教員(シェフィールド大学、ダラム大学)との国際共同研究に取り組みました。

 具体的には、「グローバル企業における本社と海外現地法人のサステナビリティ経営の統合度」を測定するための評価ルーブリックの開発に取り組んでいます。分析には、サステナビリティ経営の構造や動きを整理するBSTモデル(Balance, Structure, Trajectory)を基盤としており、さらに生物学者・福岡伸一氏の「動的平衡論」の視点も取り入れています。グローバル企業の本社と海外現地法人において、どの程度サステナビリティ経営が連動・調和しているかを可視化し、評価する尺度の構築を目的としています。

 私が目指すのは、「サステナビリティ経営における動的平衡をどのようにマネジメントできるか」という能力を明らかにすることです。本社主導で一方向的に方針を指示するのではなく、各地域の文化や経営環境を踏まえて相互に適応し合い、最適なバランスを保ちながら協働する。この視点は、今日求められている「共創と適応による国際協働型グローバルリーダーシップ」を示唆するものであり、その研究成果は次世代グローバルリーダー育成に向けても有益です。

 ビジネスの現場では今後も、多様な国・地域の人々と協働する機会が増え続けます。語学力などの一般的なコミュニケーション能力だけでなく、相手の意図や感情を能動的に理解するアクティブリスニング、言葉にならないシグナルにも注意を払うノンバーバルコミュニケーションも不可欠になります。これらは、異文化環境での相互理解を進めるうえで基盤となる能力であり、グローバルリーダーシップの本質といえるものです。

 こうした能力を育むためには、青年期から成人期にかけて一貫した育成支援が重要です。大学での4年間にとどまらず、高校段階からの早期的・垂直的な育成が求められます。さらに、海外大学や地域の国際機関、異文化コミュニティとの連携を深める水平的な取り組みを加速させることも必要でしょう。多様な価値観と実際に触れ、協働の経験を積む環境そのものが、次世代グローバルリーダー育成に欠かせない“学びの場”になります。

 教員として私自身が学生と向き合える期間は限られていますが、次の世代を担う教員へバトンを渡しながら、持続的にグローバルリーダー育成の基盤を強化していきたいと考えています。変化の激しい時代だからこそ、異文化をつなぎ、多様な価値観を調和させ、未来を創りあげる力が必要とされています。そうした力をもつ若い世代が育つことこそが、グローバル社会の持続可能な発展に向けた大きな希望なのです。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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