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2026.02.26

異文化チームにおける価値創出を実現する次世代型グローバルリーダーの条件 ― 国際比較研究にもとづく「知識型リーダー」から「共創型リーダー」への転換 ―

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グローバルリーダーシップ育成の国際研究とその成果

 これまでの実務家に対する実証研究を通して、グローバルリーダーの能力は必ずしも生得的(生まれつき)ではなく、適切に設計された育成プログラムと計画的なジョブトレーニングを通して十分に鍛えられることが確認されています。

 直近では、学部教育における次世代グローバルリーダーの育成方法を設計するため、三菱みらい育成財団からの外部資金助成(2023年度~2024年度)を得て、「クロスボーダー課題解決力を発揮できるグローバルリーダーの育成-国際トリプルハイブリッド授業によるSDGs探究学習-」を実施しました。

 2023年度には、明治大学経営学部、英国シェフィールド大学、米国シアトルパシフィック大学の3大学の研究者が連携し、次世代グローバルリーダーに求められる探究的思考や課題解決能力を測定するための「探究型学修ルーブリック尺度」を共同開発しました。さらに、その尺度を用いて、3校の学部生を対象とした国際比較調査も実施しました。

 調査結果から浮かび上がったのは、明治大学の学生は「教科書的な国際知識」については高い水準にある一方で、問題の核心を見極める「クリティカルシンキング」、解決策を実行に移す「実践的問題解決行動」、そして自らの意見を積極的に表明する「自己効力感」が、英米の学生と比べて相対的に低い傾向にあるということでした。知識の量ではなく、知識を使いこなし、状況に働きかける力の不足が見えてきたのです。

 この結果を踏まえ、2024年度には、異文化間の協働作業を通した学修効果を検証するため、オンライン上で明治大学とシアトルパシフィック大学の学生を混成した国際共修チームを編成し、実験型授業を開講しました。チームは1学期間にわたり、グローバル企業4社(ソニー、トヨタ、ボーイング、スターバックス)を対象に、本社と現地法人におけるサステナビリティ経営の現状と課題について国際比較する探究型チームプロジェクトを実施しました。

 本プロジェクトの大きな特徴は、Lego® Serious Play®(LSP)をライブオンライン授業で導入した点にあります。LSPは、レゴブロックを使ってアイデアや概念を立体的に表現し思考を可視化するメソッドで、ハーバード大学やMIT、NASAでも採用されている実績があります。オンライン授業では画面上に映る情報が2次元に限定されがちですが、LSPを活用することで、学生同士が構造物を共有しながら議論でき、3次元的なコミュニケーションへと拡張されます。それにより協働作業がスムーズに進み、共創的な成果が促されました。

 異なる母語を持つ学生同士が、初対面の議論を進めるのはコミュニケーション上のハードルが高いものです。しかし、レゴの構造物を媒介としてコメントを加えたり、ノンバーバル(非言語的)な表現を交えることで意思疎通の難度が下がり、相互理解が促進されます。その効果は明確で、編成した全4チームが、サステナビリティ経営に関するグローバル共通点と国別経営文化にもとづく相違点を特定するプロジェクトの目的を達成できました。

 また、2023年度に開発した「探究型学修ルーブリック尺度」を用い、期首と期末で学修成果を比較したところ、「困難を乗り越える自信」「改善志向のスキル学習」「チームの役割責任感と学習姿勢」の3項目で、明治大学生のスコアが統計的に有意に向上したことが確認できました。単に知識を増やすだけでなく、困難に直面したときに他者と連携しながら解決を探るという経験が確かな育成効果を生んだといえるでしょう。

英語版はこちら

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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