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理解度を高めるのは、説明を聞くよりも、説明をすること

伊藤 貴昭 伊藤 貴昭 明治大学 文学部 准教授

知らない人に説明することが有効

 なんらかの情報について、他者に説明行動をとった人と、説明行動をとっていない人とを比較すると、基本的には、説明行動をとった人の方が、その内容についての理解が進みます。

 また、説明をする相手が、その内容をある程度知っているよりも、まったく知らない場合の方が、説明者の理解度はさらに高まることがわかっています。

 すると、先に述べたように、私のオンデマンド・コンテンツを視聴しただけで終わりの学生よりも、その内容を私に説明する学生の方が理解度は高まり、さらに、私ではなく、その内容をまったく知らない人に説明する学生の方が、理解度はさらに高まることになります。

 そこで、私は、学生に、高校生に対する想定で、私の講義内容を説明するビデオを作成する課題を出しました。提出をレポートではなくビデオにしたのは、自分の説明を聞く相手をよりリアルに想定させたいと考えたからです。

 こうした説明行動によって自分自身の理解度を高めることが、学習効果を高めることに繋がるわけです。

 では、こうした工夫はオンライン授業にだけ必要であって、対面授業では必要ないのかと言えば、決してそうではありません。教室では、内容を知っている者同士で説明をすることが多いからです。

 例えば、教員が授業を進める中で、問題を出して生徒に答えさせたり、説明させることはよくあります。しかし、生徒の答えを聞く教員はもちろん、クラスメイトも同じ授業を受けているのですから、その問題と答えについてほとんど知っていることになります。

 すると、解答する生徒の理解度を高めるためには、さらに工夫が必要になるわけです。

 例えば、生徒をいくつかの班に分け、班ごとに調べものをして、それを他班の前で発表する授業は、プレゼンテーション力をつけることはもちろん、自分たちの調べたことを知らない人たちに説明することで、自分たち自身の理解力を高めることにもなるわけです。

 こうした取り組みを、私はオンライン授業のライブ型でも行いました。すると、オンデマンド型よりも、ライブ型や、対面授業の方が効果的な説明行動を行えることがわかります。

 例えば、説明を聞いている人の反応などが見えるので、即座に説明の内容や説明の仕方を変えていくことができるからです。それは、説明をする人の中で、説明する内容についての新しい理解や捉え方が起こっていることでもあるのです。

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