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面白さにはまり、型をまねると学びは動き出す
2026.07.15

学びを加速させるアドバイス面白さにはまり、型をまねると学びは動き出す

リレーコラム
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教授陣によるリレーコラム/学びを加速させるアドバイス【33】

学びが前に進むかどうかは、その分野に「はまる」かどうかに左右されるのではないでしょうか。ここで言う「はまる」には、二つの意味があります。一つは、その分野そのものを面白いと感じ、つい自分からやってしまう状態になること。もう一つは、その世界の型が少しずつ身についてくることです。ただ真面目かどうかではなく、面白いと感じられるかどうか。さらに言えば、まねるべき型が見えてくるかどうか。そのことが、学びの進み方を大きく変えるのだと思います。

私が専門とする哲学は、自由に好きなことを考える営みというより、まずはトレーニングです。文章を正確に読むことも、問いに筋道をつけて答えることも、練習なしにはできるようになりません。これは楽器やスポーツとよく似ています。最初から自己流でうまくいくわけがなく、まずは型を学び、先に身につけた人をまねる。私が大学での学びが「学校」というより、「習い事」や「お稽古事」に近いと思うのは、そのためです。

ただ、型を学ぶことは窮屈さばかりではありません。むしろ、それが面白さへの入口になることがあります。学生を見ていると、真面目だから伸びるというより、面白いと思って「はまった」人が伸びていきます。その学問の型が少しずつ身についてくると、何をどうすればよいかがわかってくる。その学問の問い方や考え方に十分になじんで、それらを自分で使いこなせるようになったとき、学びは一気に動き出します。最初に型を身につけるからこそ、そのあとで自由に動けるようになる。哲学もまた、例外ではありません。

教員の役割も、「先生」というよりコーチに近いのかもしれません。見本を示し、一緒に手を動かし、うまくいかないところも隠さない。授業でも学生と同じ作業をしながら、どう問い、どう考え、どう言葉にするかを目の前でやってみせる。そのための場として授業があるのだと思います。

実際、型が身についてくると、学生同士の議論の質も変わります。たとえば、私が受け持つ「哲学プラクティス」という授業では、ある事柄について「○○とは何か」と問い直し、一定の答えを導く技術を身につけます。後半には学生同士でかなり高いレベルの議論ができるようになり、自分たちで問いを立て、考えを前に進められるようになる。学びが人から与えられるものではなく、自分たちで動かせるものに変わっていくのです。

仕事でも、似たところがあるはずです。新しい分野に向き合うとき、最初から独自性を求めるより、まずは信頼できる人のやり方をじっと見てみる。そして、まねてみる。その型の意味が少しわかると、見え方が変わり、自分なりの問いも立ち上がってきます。大事なのは、最初からオリジナリティを急いで打ち出そうとしないことかもしれません。まずは一人、この人のやり方を追ってみたいと思える相手を見つけること。そこから、自分なりの問いも、ものの見え方も変わり始めるのではないでしょうか。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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