学びを加速させるアドバイス自分としっかり向き合って、無理なくじっくり学び続ける
教授陣によるリレーコラム/学びを加速させるアドバイス【13】
私はどちらかと言うと、一つのことに情熱を燃やし続けるのが苦手な性格です。そのため、学びを加速させるというより、なるべく停滞させないための工夫を考えてきました。それを言葉にするなら、「自分に無理のない形で、時間をかけて、とにかく継続すること」です。
学生時代から、私の周囲には、凄まじい集中力で研究に打ち込んで結果を出している研究者が何人もいました。そういう人たちを見て、羨ましく思っていたんです。でも私は、ずっと同じテーマに取り組んでいると、あるときから興味が薄れてしまう。もちろん、そこで投げ出してはいけないので、とにかく継続する必要がある。そのために、なるべく無理せずに続けられる方法を模索してきました。
私の場合、興味のあるトピックが常にいくつかあるので、あるテーマで行き詰まったら思い切って一旦中断して、別のテーマに取りかかることにしています。いずれ元のテーマへの興味が再燃してくれば、タイミングを見て新たな気持ちで再始動すればいいのです。昔は、一度でも止まってしまうと、二度と戻ってこられないのではないかという思いがあったのですが、少し時間を置くと興味が戻ってくるのだとわかってから、気が楽になりました。無理なく切り替えつつ、やや乱暴に言うなら、「とにかく何でもいいから常に学び続ける」という感覚です。並行して複数のテーマに取り組むことで、いつも複数の視点を持ち続けられるというメリットもあります。全く関係ないと思っていたテーマの間に意外な共通点が見えてくる、ということもありました。
もちろん、競争の激しい分野だと、少しでも離れることが大きなリスクになる場合もあります。とにかく継続するという観点で言うならば、個人的には、重要性は高いけれどややマニアックで、じっくり取り組めそうなテーマを持っておくのがよいのではないかと思います。ただ、そんなテーマを見つけるのは簡単ではありませんし、研究に限らず、無理なく続けられるものを見つけられたなら、それだけでもすごいことです。
ひとつのテーマに興味や情熱を持ち続けることが難しくても、自分にできる形で、時間はかかってもあきらめずに継続していけば、学びをどこまでも深め続けることができるのではないでしょうか。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。
