第三者交流が子どもの負担にならないか考えてほしい
さらに、法改正による第三者の子との交流に関する変更点についても、十分に子の利益が考えられているか注意する必要があります。
法改正前は、離婚した後の子どもとの面会交流について、当事者間の話し合いで了解が得られずに裁判所に判断を仰ぐ場合、家庭裁判所が審判できるのは子の父と母に関してのみでした。他方で、親権者ではない方の祖父母などが子(孫)に会いたいという一定のニーズもありました。
改正法では、「過去に当該子を監護していた者に限る」という条件つきで、「子の利益のために特に必要があると認めるとき」に限って、家庭裁判所が父母以外の親族にも交流を実施する旨を定めることができるようになりました。
この第三者交流を認めたことについては法律がニーズに応えたわけですが、場合によっては、子どもにとって負担になる可能性があることを考慮するべきではないかと私は思います。
この場合もやはり、純粋に子どもの方が会いたいというよりかは、家同士の競争に利用されるような可能性がないとは言えません。実際、私は弁護士として経験があるのですが、「親権者の祖父母は孫に毎日のように会っているのに、われわれが会えないのはおかしいから面会したい」というような相談をしばしば受けます。ですが、はたしてそれは「子どものため」の要求なのでしょうか。
今回の法改正では、子の監護に要する費用負担や面会交流などについても、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」との理念が明記されるようになりました。それ自体はよい、というか当たり前のことなのですが、やはり実際の法律の建て付けを見ると、離婚後の共同親権や第三者交流などには、十分に子どもの目線が入っていないように私には感じられます。
法改正にまつわる一般の議論にしても、子どもの利益の話がほとんど優先されていない現状も含めて、子どもの権利の理解に関して、日本社会はより成熟する必要があるように思われます。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。