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2026.08.20

エネルギー問題や災害対策…実は身近でSDGsに大きく関わる「流体力学」

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対流輸送された熱や物質の発生源を推定し、環境災害の課題解決に迫る

 流体には、さまざまなものを輸送する性質、対流輸送能力があります。たとえば火災が発生したとき、その熱だけでなく二次災害的に発生した有害なガスも、風の流れに乗って運ばれてくることがあります。しかし火元やガスの発生源から離れれば離れるほど、どこから来たのかがわからなくなります。

 スーパーコンピューターを使ってコロナウイルスの分布状況がシミュレーションできたように、今の時代、原因を与えて結果を知ることはある程度、可能です。しかし結果から原因を探る逆解析になると、一気に難しさが上がります。流体は複雑な動きをするので、原因にたどり着くのが難しいのです。これは空気だけでなく水でも同じです。海で汚染物質が流出したときに、どこから来たのか知るのは重要なことです。発生源を推定することが迅速な災害対処につながりますが、限られた情報から推定するのは容易ではありません。

 私たちの研究室では、対流によってどこからか運ばれてきた熱や物質の局所計測情報から発生源を特定する技術を、最適化数理や深層学習を使って開発しようとしています。発生源の推定ができれば、災害への対処など、さまざまな展開が期待できます。現在は、屋内での火災を想定し、熱やガスの流れ場予測、火元予測、探索経路の最適化などを進めているところです。

 現状では、高い精度で発生源を特定できるのは、流れが比較的に遅く、単純な場合に限られます。たとえばパイプの直径を固定した状態で水の流速を変えていくと、ある速度から乱れ始め、細かいところまで追えなくなります。たとえ障害物がなくても、ミクロンレベルの粗さがトリガーとなり、一度乱れだすとどんどん増幅し、予測のつかない乱れ方をする。特定の時刻にどのような状態になっているかまで正確に予測することは非常に難しい。この事実を知っていると、天気予報が外れることに対して寛容になれます。

 とはいえ、身近でありつつも予測の難しいところが、流体力学の面白さでもあります。解析の精度が上がれば、社会課題の解決に近づくことは間違いないので、今後も追究を続けていきます。

英語版はこちら

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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