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2026.08.20

エネルギー問題や災害対策…実は身近でSDGsに大きく関わる「流体力学」

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血管網が形成されるメカニズムを解明し、工学的な応用をめざす

 血管は血液の流路です。血液に乗せた酸素や栄養素を身体の隅々まで運び、血管の壁を通して体内の組織に届ける役割を果たしています。全身に張り巡らされた血管網は、心臓をポンプとした対流輸送システムだと捉えることができます。心臓に負担をかけない、効率のいい構造になっていると考えられています。私たちの研究室では、血管網の形成メカニズムを解明し、生物の進化で培われた高効率輸送のシステムを、工学的に応用することもめざしています。

 これまでに、生物学分野の研究者らとネズミの網膜を使った共同研究を行ってきました。生まれてすぐのネズミの網膜には、血管がありません。生後、目の中心部から毛細血管が一見ランダムに広がり、流路を構築していく。何時間か経つと、過剰に張られた網目が間引かれ、太い血管や細い血管に分かれて、植物の葉脈のような形になっていきます。この間引かれる過程をリモデリングといいます。新生する過程と間引く過程、両者がバランスをとって階層構造を有する血管網を形づくっていくのです。

 この間引く作業には、流体の力学的因子が関わっているだろうと考えられています。ここでの力学的因子とは、血液が血管内を流れる際、血管壁にかかっている力などのことを指します。こうした因子がどのように血管構造の変化に影響するのかを解明するためにも機械学習を使っています。

 方法としては、まず間引かれる血管が消える前の流れのデータ、圧力や流速などを機械学習させ、どういう条件だと間引かれるのか因果関係を導き出します。そして間引かれて消えるところを予測する、リモデリング予測アルゴリズムをつくるのです。間引かれた後の構造は、より少ない負荷で効率よく流れると仮定し、つくったアルゴリズムを工学応用しようとしています。

 たとえば三次元的に張り巡らされた工場のパイプラインに、生物で学んだリモデリング予測アルゴリズムを当てはめれば、より少ないパワーで対流輸送が実現できる設計が可能になるかもしれません。有機的な生き物の法則を、無機物にそのまま転換できるわけではないでしょうが、より高効率化に活かせるようなアルゴリズムが得られればと研究を進めています。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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