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日本の折紙が世界にイノベーションを起こす
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近年、3Dプリンタが普及し始め、誰でも立体構造物を手軽に造ることができるようになってきました。しかし、構造物を思うように造るには、いま普及している積層型の3Dプリンタだけでなく、もうひとつの製造法が必要だといいます。その開発が本学で進められています。

ものづくりは、積層型だけではもの足りない

萩原 一郎 いま、普及している3Dプリンタが登場したとき、オバマ元アメリカ大統領は、これを革命を起こすもの、と称賛しました。

 それは、従来であれば、立体物を設計した者は、設計図を製造所などに持って行き、製造者に託して形にしていましたが、デスクの横に置ける3Dプリンタは、設計者が設計したものを、その場ですぐに形にすることができたからです。その意味では、まさに革命的な装置なのです。

 この3Dプリンタは、3次元のCADデータから、その構造物の断面を一定間隔で取り、それぞれの断面の外周の点を求め、そこに、樹脂などの溶かした素材を吹きつけ、積み上げていく仕組みです。したがって、積層型3Dプリンタと言われます。

 そもそも、人工物の製造法には大きく2種類あります。素材を溶かして成形する方法はそのひとつです。もうひとつは、素材を平板状にして折り曲げて組み立てる方法です。

 例えば、自動車の場合、エンジンなどは素材を溶かして成形しており、ボディなどは平板を折って造っています。

 つまり、積層型3Dプリンタは溶かした素材でものを造るという、ひとつの方法ですが、実は、それだけでは作り難いもの、造れないものがあるのです。

 そこで、私たち研究グループが開発しているのが、平板を折り曲げて造る、折紙式3Dプリンタです。

 折紙とは、平面の紙を順番通りに山折り、谷折りをしていき、立体のものにします。つまり、どこを山折り、谷折りにすれば、目指す立体形になるのかがわかっていないと折紙はできません。

 そこで、私たちは、積層型3Dプリンタでも使う3次元のCADデータから、山折線、谷折線の入った展開図を作るシステムを開発しました。つまり、造りたい形が決まれば、平板状のものをその形にする折り方がわかるのです。

 この折紙式3Dプリンタには、積層型3Dプリンタにはない特徴があります。

英語版はこちら

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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