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2026.04.24

“明治大学子どものこころクリニック”取材レポート~心理と医療のチームワークで子どもに寄り添い、未来を育む。

特集
“明治大学子どものこころクリニック”取材レポート~心理と医療のチームワークで子どもに寄り添い、未来を育む。
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TRPGを使った集団療法。日々の診療で生まれた知見を研究発表として発信

開院7年目を迎えようとするクリニックでは、これまで蓄積した知見を研究発表という形で世に出すことにも新たにチャレンジしています。
昨年開催された第66回日本児童青年精神医学会では、TRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)を用いた集団療法についてのポスター発表を行いました。その内容は、発達障害の特徴により集団になじめなかったり不登校になったりしている子どもたちにゲームを用いた集団療法を行うことで、コミュニケーションや登校意欲に改善が見られたというもの。

「研究のための研究というより、臨床心理と精神科医療の協働という試みを、提言という形で社会に発信していこうという意図でとりまとめました。
遊戯療法と集団療法についてはもともと明治大学に研究の蓄積があり、それを組み合わせて臨床に応用した、いわば私たちの得意分野なんです。
子どもとの関わり方については学会内でも関心が高く、いろいろな反響をいただきました。今後も、たとえば私たち独自の初診の方法などについて発表できればと思っています」

多くの来場者が集まったポスター発表の様子

診療も研究も、チーム全員で取り組むのが基本姿勢だと太田さんは言います。
では、こうしたクリニックは今後どのような展開を見せていくのでしょうか。

「おかげさまで多くの方に必要としていただき、最近は診察の量に圧倒されることもしばしば。研究発表など新しいチャレンジもしながら、もう一度初心に戻って、今できることを再検討する時期に来ているのかなとも考えています」

精神科医療は、誰もがいざというときにお世話になる心の杖のような存在。太田さんらがクリニックに込めた「医師と心理職が対等に協働する」という理想像が、日々の診療や未来の心理職の育成、研究発表を通して世の中にじわりと広がってゆけば、これほど心強いことはありません。

コラム
山登院長に聞く――子どもの笑顔と家庭の平和のために

取材の最後に、院長の山登敬之先生にお話を伺いました。開業医として豊富な経験をもつ山登先生から見たクリニックの魅力や、診療への思いについて語っていただきました。

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院長の山登敬之先生

――子どものこころクリニックの特徴や強みを教えてください。
私は以前、個人で開業医としても働いていたのですが、子どものこころクリニックには一般的な病院やクリニックとは違う持ち味がありますね。
心理職の方たちとの距離が近くて、チームで一緒に患者さんを見ているという感覚です。フラットな雰囲気で自由に意見を言い合えることが、良い診療にも繋がっているのではないでしょうか。私自身、一人で開業医をしていたときより安心感がありますし、日々勉強させていただいています。

――大学が運営するクリニックであることの意義はいかがでしょうか?
明治大学の看板があることは、患者さんとしては安心感があるでしょうね。アクセスが良く緑も多くて、立地や環境にも恵まれていると思います。また、一人ひとりの患者さんにじっくり時間をかける診療スタイルは、大学という後ろ盾があるからこそ実現できている面があります。大学として長く継続してほしいですね。

――診療にあたって大切にされていることは何ですか?
面白みがない答えなのですが、患者さんとご家族のニーズに応えるということですね。
たとえば発達障害といっても、困りごとは人によってそれぞれ異なります。クリニックでは医療と心理の両面から支援しますが、時には教育や福祉の領域との連携も必要です。「学校から直接、クリニックに連絡してもらってください」と案内することもあります。
また、お子さんに関する困りごとで来院されても、話を聴いていくとむしろ親御さんが何か別のところに不満を抱えていらっしゃる場合もあります。そうしたニーズはお話しする中でわかってくるものなので、いつでも親身に聴くことを心がけています。

――クリニックのHPで「こころの病気のお話」というコラムも発信されていますね。
クリニックからの発信というより、私自身の思いとして書いています。たくさんの子どもが精神科の予約を待っているなんて、健全な社会とはいえませんよね。そんな世の中に対して一言申し上げたい。まあ、自戒の念も込めて。あとは、理想の旗は高く掲げておこうということですかね。

山登院長の「こころの病気のお話」コラム

――最後に、クリニックの活動を通して社会に伝えたいことがあればお聞かせください。
どこの病院・クリニックのホームページにも「患者さまのお話をよく聞きます」とか書いてあったりするんですが、その初心を貫徹することはなかなか難しい。
けれど子どものこころクリニックでは、みんなで良質な医療と心理治療を提供していきましょうという意識を共有しながら、ここまで頑張ってこられました。
まずなによりも、子どもの笑顔と家庭の平和が大事でしょう、と。そういう当たり前のことを、世の中にもアピールしていけたらと思います。

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明治大学子どものこころクリニックについて
HP: https://www.meiji.ac.jp/mhc/
場所:東京都千代田区神田駿河台1-1 明治大学駿河台キャンパス研究棟内
診療科目:児童精神科・精神科・心療内科
クリニックは予約優先です。詳細・最新情報は必ずHPでご確認ください。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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