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自分の学びと社会とのつながりを、俯瞰的に把握しよう
2026.07.22

学びを加速させるアドバイス自分の学びと社会とのつながりを、俯瞰的に把握しよう

リレーコラム
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教授陣によるリレーコラム/学びを加速させるアドバイス【34】

学んでいる最中に、「これは何の役に立つのだろう」「いま学んでいることは、将来どこにつながるのだろう」と感じたことはないでしょうか。授業や課題に真面目に取り組んでいても、その意味や社会とのつながりが見えないと、学びはどうしても受け身になりがちです。学びを深め、長く続けていくためには、目の前の内容だけを見るのではなく、「自分はいま何を学び、それが社会のどこに位置しているのか」を俯瞰的に捉える視点が重要だと私は考えています。

私自身、学生時代には、個々の科目や内容を点として学んでいる感覚が強く、なぜそれを学ぶのかを十分に理解できていなかった時期がありました。しかし研究に取り組むようになり、それまでに学んできた知識がどのようにつながり、一つの課題解決に結びついているのかを意識するようになってから、学びが急に立体的に見えるようになったのです。

私の研究の出発点は、並列化コンパイラというソフトウェアを用いてコンピュータの計算をいかに高速化するかというテーマでした。博士論文ではソフトウェアそのものを扱ったのですが、その後、AIの発展にも並列処理が大きく関わっていることを知り、AIについて改めて一から学び直すことにしました。

このように、高速化が必要な場面はどこかという視点で周囲を見渡してみると、AI、流体シミュレーション、物体検出、準同型暗号、量子計算シミュレーションなど対象となりうる領域は限りなく広がっていました。こうして見つけた新たなテーマに取り組むことで、自分の研究の社会における位置づけが明確になり、次に学ぶことが見えてきます。取り組んだテーマのすべてが大きな成果につながったわけではありませんが、自分の専門分野に閉じこもっていては得られなかった数々の学びが今の私を支えているので、どれも無駄ではなかったと思っています。

教育に携わる立場になった現在は、学生に対しても「この学びは社会のどこにつながるのか」「将来どの分野と関係してくるのか」をできるだけ示すよう心がけています。自分の学びが社会の中でどのような役割を果たすのかが見えると、理解が深まり、学ぶこと自体に意味を感じられるようになるからです。

同じように、学生自身が取り組む研究に関しても、性能がどれだけ向上したかという結果だけでなく、「その研究が社会の中でどのような意味を持つのか」を必ず言葉にするよう求めています。論文を書く場面でも、「この成果はどのような場面で役立つのか」「誰のどんな課題につながるのか」を考えることで、自分の研究をより広い視点で捉えられるようになるからです。

また、俯瞰的な視点をもつことで、当初は興味が持てなかった分野にも価値を見いだせるようになります。学びは一直線に進むものではなく、回り道をしながら、あとになって点と点がつながることも少なくありません。

社会に出てからも同様で、目の前の仕事が組織や社会の中でどのような位置づけにあるのかを意識できる人ほど、主体的に動き、成長していくように感じます。自分の仕事や取り巻く環境について、最初に学んだきりアップデートできていないという人も多いでしょう。時代が進んでゆく限り、どんな業界でも必ず変化はあるはずです。そうした流れを常にキャッチして、学びを点で終わらせず、線や面として捉えること。それが学びを加速させ、結果として学びの多い豊かな人生につながるのではないでしょうか。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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