学びを加速させるアドバイス歩いているうちに「面白さ」は見つかる
教授陣によるリレーコラム/学びを加速させるアドバイス【26】
私たちは往々にして、「これは本当に自分に必要な勉強だろうか」「将来に役に立つのだろうか」と考え込み、なかなか最初の一歩を踏み出せないことがあります。
しかし、実際には、最初は面白さを感じなかったことでも、腰を据えて調べたり、思い切って参加したりするうちに、ある水準に達した瞬間、急に世界が開けてくることがあります。
ですから、「本当に役に立つか」を前もって完璧に判断するのは不可能に近く、ともかく飛び込んでみる積極性が大切だと感じています。もし、本当にやるべきことを見誤っていたと気づいたなら、その時点で方向転換すればよい。少しでも自分の頭で考えながら進んでいれば、だいたいの場合、どこかで軌道修正のサインが見えてくるものです。
私自身の経験を振り返ると、大学のゼミ選択がそうでした。当初、私は今とは異なる分野を専門とする先生のゼミに入りたいと考えていました。しかし、その先生がサバティカル(研究休暇)に入られることになり、新規募集が行われなかったため、別の先生のゼミにお世話になることになりました。その先生の専門は国際私法。正直なところ、当時の私は国際私法に関心をもっておらず、「なぜ自分はここに?」と戸惑う気持ちも多少ありました。
しかし、ゼミで文献を読み込み、議論を重ね、課題に取り組むうちに、国際私法が持つシステマチックで精緻な構造に惹かれていきました。さらに大学院に進む頃には、各国の法律が抱える価値判断の違いに向き合うダイナミックな側面にも魅力を感じるようになっていました。
これは私の特別な体験ではないと思います。最初から大きな目標を掲げて一直線に進むのも素敵ですが、多くの場合は、偶然の出会いや、ふと手に取ったテーマ、あるいは「選ばざるを得なかった」選択肢から、思いがけず心を奪われる対象に巡り合うものです。いわば、歩いている途中で“夢中になれる欠片”を拾い上げる感覚です。
その欠片を見つけたからこそ続けられるのか、続けたからこそ欠片が見つかるのか──これは悩ましい問いですが、どちらが先であっても構わないでしょう。少なくともひとつ言えるのは、本当におもしろいと感じられるかどうかは、実際に手を動かしてみなければわからないということです。
“チャレンジ精神”というと大げさですが、目の前の機会にとりあえず手を伸ばしてみる姿勢は、学びの幅を大きく広げてくれます。私自身も、そうした心構えをこれからも大切にしながら、新しい知の扉を開いていければと考えています。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。
