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2026.04.09

同性カップルの婚姻に、どのように最高裁は答え、国会は応えるのか

同性カップルの婚姻に、どのように最高裁は答え、国会は応えるのか
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全国で続く同性婚訴訟について、2027年には最高裁の大法廷で判断が下されます。これまで、高裁レベルでは違憲判断が積み重なってきました。その流れの中で、2025年11月28日の東京高裁判決は、唯一の「合憲」判断として際立つ存在でした。本稿では、この判決の特徴とその論理の問題点を、家族法の視点から読み解きます。

全国に広がる「結婚の自由をすべての人に」訴訟

渡邉 泰彦 最高裁は、2026年3月25日に、同性カップルに婚姻を認めない現行の民法および戸籍法の規定をめぐる「結婚の自由をすべての人に」訴訟を大法廷で審理することを決めました。これは、最高裁が同性間の婚姻について憲法上の判断を行うことを意味します。おそらく、2027年の初旬には最高裁が判決を言い渡すと見込まれています。

 そもそも、この「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、同性カップルに婚姻を認める立法をしていないのは立法府の怠慢であって違法だとして、全国5地域6件――札幌、東京(第一次・第二次)、名古屋、大阪、福岡――で提起された一連の国家賠償請求訴訟です。最初の判決は2021年3月17日の札幌地裁判決でした。この判決が、同性カップルが婚姻の法的効果を受けられない現行法を憲法14条1項違反として「違憲」と判断したことで、その後の流れがつくりだされました。以後の地裁判決は、違憲、違憲状態、合憲と結論が分かれていきます。

 もっとも、第一審判決に共通していたのは、同性カップルの法的保護の必要性自体は否定しなかった点です。少なくとも、婚姻によって生じる法的効果――身分関係の公証や相続、配偶者としての各種保護など――を何らかの形で保障する制度が必要ではないかという問題提起は各地裁判決に見られました。婚姻制度に組み入れるのか、あるいはパートナーシップ制度など別制度を構築するのかという点はともかく、同性カップルが現行制度の外に置かれている状況に対する疑問は共有されていたのです。

 その後、舞台は高裁に移ります。流れを大きく変えたのは、控訴審で一番目となる2024年3月14日の札幌高裁判決です。札幌高裁は、同性カップルに婚姻を認めないこと自体が憲法に違反すると明確に述べる違憲判断へとシフトしました。ここでは、別制度では不十分であり、婚姻そのものを認める必要があるという立場が前面に出ています。

 これ以降、高裁レベルでは、婚姻を認める方向での違憲判断が続きました。第一審で唯一「合憲」としていた大阪訴訟でも、大阪高裁は2025年3月25日の判決で違憲と判断し、流れはより明確になっていきました。高裁段階では、「婚姻に代わる制度」で足りるのかという議論よりも、「婚姻を認めないこと自体」が問題だという構図が強まっていたといえます。

 そうした中で出されたのが、2025年11月28日の東京第二次訴訟控訴審判決です。第一審は、憲法24条2項に違反する「状態」にあるとする、いわば違憲状態論を採っていました。それを東京高裁は明確に覆し、憲法24条1項、同条2項および14条1項のいずれにも違反しない(すなわち合憲)と断じました。控訴審で唯一の明確な合憲判断であり、これまでの流れからすれば異質な判決だといえます。

 世界的に同性婚の導入が進み、日本国内でも自治体のパートナーシップ宣誓制度が広がる中で、それでもなお同性カップルの婚姻を認めないという結論に至るために、東京高裁は独自の理論構成を展開しました。私自身は、その理由づけに対して、理解しがたい論理の積み重ねによって合憲という結論を導き出したものと評価しています。この判決の理論構造を丁寧に検討することが、今後の議論にとって不可欠だと考えています。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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