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偶然の出会いからコラボレーションへ
2026.04.01

研究の裏話偶然の出会いからコラボレーションへ

リレーコラム
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教授陣によるリレーコラム/研究の裏話【8】

2009年に明治大学へ赴任したとき、私の中には一つの思いがありました。せっかく総合大学に来たのだから、自分の専門に閉じこもるのではなく、学際的な共同研究を通じて“明治大学らしい研究”ができたらいいな、という思いです。

しかし、実際に教員としての日々が始まってみると、理想と現実には少なからず隔たりがありました。授業や学内業務に追われるなかで、他学部の先生方と知り合ったり、じっくり話す機会は意外と限られています。特にキャンパスが離れている場合はなおさらです。

そんな状況が変わるきっかけとなったのが、2015年に学内で開催された国際会議です。私はそこで発表を依頼され、研究紹介を行いましたが、同じ会議で理工学部の小野弓絵先生が生体計測に関する研究発表をされていました。

小野先生の発表を聴いたとき、運動生理学の立場から循環や血流を研究していた私は、率直に「これは面白い」と感じました。自分がこれまで主に生理学的な指標から捉えてきた現象を、工学的な手法でここまで精密に扱えるのか、という驚きがあったのです。

さらに嬉しいことに、会議後しばらくして小野先生のほうからご連絡をいただきました。そこから、生体医工学と運動生理学を組み合わせた共同研究が具体的に動き出しました。振り返ってみると、あの国際会議での偶然の出会いが、その後の研究の方向性を大きく広げてくれたと言っても過言ではありません。

この経験を通じて強く実感したのは、「オープンマインドでいること」の大切さです。自分の専門分野に軸足を置きつつも、少し外側に目を向け、面白そうだと感じたものに素直に関心を持つ。その姿勢が、思いがけない縁や新しい研究の扉を開いてくれるのだと思います。

この話は、研究者に限らず、ビジネスパーソンの方々にも通じる部分があるのではないでしょうか。誰にでも「自分のペース」があり、それを守ることは仕事を続けるうえで重要です。一方で、そのペースややり方に固執しすぎると、新しい発想や展開が生まれにくくなるのも事実です。

ときには他部署の人とコラボレーションしてみる、あるいは普段は関わらない分野の仕事にあえて足を踏み入れてみる。そうした小さな挑戦が、結果として自分自身の仕事や視野を大きく広げることにつながるのではないかと思います。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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