学びを加速させるアドバイスグローバルリーダーになるための「学び方」
教授陣によるリレーコラム/学びを加速させるアドバイス【22】
次世代グローバルリーダーを育成するための学びには、3つのキーワードがあると考えています。それは「自他理解」、「実践学修」、「内省(リフレクション)」です。
最初の「自他理解」は、自分自身と他者の双方を理解し、互いの違いを理解する力です。
リーダーシップとは、フォロワーの力を借りてチーム目標を達成する活動である以上、自分と相手の立場や価値観を踏まえて理解する姿勢が不可欠です。
対人関係における誤解や対立は、しばしば「自分と相手との違い」が、「相手が間違っている」と決めつけてしまうところから始まります。しかし、違いそのものは問題ではなく、異なる価値観や意識、判断は、創造的な問題解決の源泉になり得ます。
だからこそ、自分と他者との双方を正しく理解した上で、異なる意見を尊重しながら、共通の利益につながる解決策を模索する力――すなわち自他理解に基づく共感力が重要になります。
この点は、とりわけ、同質性が高く、同調圧力の強い日本社会において、発想と行動の転換が求められる部分ではないでしょうか。
二番目の「実践学修」は、Kolbの経験学習(Experiential learning)理論にもとづく、「体験を通じた主体的な学びと応用」です。
教室内での講義による受動的な学びは大切ですが、それ以上に、受講生自身の思考・対話・発言を通した能動的な「アクティブラーニング」、チームメンバーと一緒に解決策を導出する問題解決型の「アクションラーニング」に参加し、葛藤や困難を通して何を学んだかを体験学習することです。
例えば、チーム内のディスカッションにおいて、海外からの留学生に対して、英語力のみならず価値観の違いを含め、自分の意見が思うように伝わらない場合です。戸惑い、苦労しながらも諦めずに自分の意思を伝えようとする実践経験は、真摯な姿勢が相手との共感を生み、意思疎通のブレークスルーになることも少なくありません。
こうしたスパイラルな実践学修の蓄積が、次世代グローバルリーダーに不可欠なグローバルマインドセット、文化的自己効力感の醸成に繋がっていきます。
三番目の「内省(リフレクション)」は、自分の考え、感情、行動をふり返り、客観的な意味付けや将来に繋げるための学びを主体的に考える能力です。
例えば、授業を知識修得のためだけにこなすのでなく、テーマについて自分はどう考え、何を感じ、将来、どのように活用できるのか振り返ることにより、はじめて学習機会は「成長」へと昇華されます。
別の言い方をすれば、成績や単位、卒業資格といった外発的報酬は、もちろん学びのモチベーションにはなります。しかし、より重要なことは、個人の内面にある内発的報酬としての「学びの意味づけ」から生まれるということです。
1.「自分が本当にやりたいことは何か?」
2.「自分の学びの成果は、将来的に自分と他者や社会をどのように繋げるか?」
3.「上記の問いへの答えを見つけるために、今何をすべきか?」
この自分自身に対する3つの質問は、社会人になってからのキャリア開発にも通じる本質的な原動力になると思います。その意味からも、学生時代に獲得すべき一番大切なスキルは、「学び方を学ぶ(learn how to learn)」ことだと思います。
そのためにも、大学教育者の役割は、知識を一方的に伝えることではなく、学生が主体的に自分の将来を創り続けられる学び方を修得できるよう支援するナビゲーターになることだと考えています。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。
