
2023.02.03
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。
修士課程で共同研究をさせていただいた小笠原浩太先生(東京工業大学准教授)と、博士課程で指導教員をしていただいた岡崎哲二先生(東京大学教授)への感謝は忘れることはできません。
ある日、小笠原先生が「博士課程は考えていないの?」とおっしゃったので「はい」と正直に答えると、「せっかく研究者としての能力があるのにもったいないですね」という思わぬお言葉が。
当時の私は、本当に就職しか考えていなかったのですが、経済史分野の若手として優秀な実績をあげている先生に背中を押されたことで、最終的には博士課程への進学を決意しました。
博士課程でお世話になった岡崎先生は、あまり無駄な話はされず、こと細かに説明することもなく、本当に大事なところだけを見極めて指導してくださる方です。
やる気を出させるために褒めることもなく、つまらないと思えば「これはあんまり面白くないですね」と言ってくださるような率直さに、私はいつも深い敬意を抱いていました。
岡崎先生は、経済史学界のトップクラスの先生です。そんな実力者に自分の研究を「面白いですよ」と言っていただけた時には、ほとんどを自力で進めていたこともあり、かなりの自信になりましたね。
お二人に共通するのは「教えるより育てる」ということ。あまり自分で考えない人には、自らすすんで指導されることはなく、やる気のある人が質問をすると丁寧に教えていただけます。
会社で言えば、熱意のある若い社員には好きなようにやらせ、アドバイスを求められたら親身になって応え、結果が出るまで優しく見守るベテラン社員というところでしょうか。
若い方は上司に言われるまま仕事を無難にこなすより、自分で考え、自分で動き、「よくない」と言われたらまた考え直す。そんな繰り返しから答えを出すほうが、自信がついて仕事も面白くなりますよ。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。