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コトやモノに広く興味を持ち、専門性を高めよう
2022.10.27

人生で影響を受けた人物コトやモノに広く興味を持ち、専門性を高めよう

リレーコラム
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教授陣によるリレーコラム/人生で影響を受けた人物【96】

土井正男先生(中国科学院大学主席研究員)、上田隆宣先生(元日本ペイント(株))、酒井啓司先生(東京大学教授)の3名の方です。

みなさん「(一社)日本レオロジー学会」の会長を務められています。レオロジーとは「物が流れるか流れないか、流れるにはどれくらいの力が必要か」というような現象を探求する学問です。

ちなみに私がレオロジー学会に入会したのは、例えばエンジンオイルとシャンプーのように、業界が変わると粘度の基準や製造方法がまったく異なるため「物理学なら統一できる」と思ったから。

一人目に挙げた土井先生はノーベル賞候補とも言われるほどすごい研究者ですが、日常のピンポイントで気になる事があると少年のような目になり、ほとんどそれだけに集中してしまう方です。

例えば「普通の風船は一様に膨らむけれど、大道芸人の風船はなぜ一部しか膨らまないのか」を考え続け、学会の講演の時も、風船の話ばかりで予定した内容をなかなか語っていただけない(笑)。

次の上田先生は残念ながら亡くなられたのですが、元々は企業の研究者です。学問や会社の垣根を超えて色々な装置を集めレオロジーを総合的に評価する研究所を創る道の途中でした。私はこの検証手法を継承させていただいています。

酒井先生は学生時代からずっとお世話になっています。装置の開発がお得意で、特許を自分で取得してしまう姿を見て「何が世の中の役に立ち、そこに知識をどう生かすか」を教えられました。

先生方は、自分の専門性に囚われない目線や手法を持ち、異なる世界や面白い現象を探求する事で、専門分野の研究にも生かします。そんな姿にいつも私は大きなインスピレーションを受けました。

一般の会社でも、扱っている事や物に集中し、専門性に偏ってしまいがちではありませんか。時には異なる業界や自らの興味を追求してみると、専門分野が進歩する新しい道が見えてくるかも知れませんよ。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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