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2026.06.25

少部数の自主出版物“ジン”は、誰もが発信に使える気軽なものであっていい

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日本の子どもの物語で、文化の異なる人たちにも通じる感情を描く

 コミック作品も、ジンのかたちで自主出版されることがあります。そうした自主制作のコミックはミニコミック、略して「ミニコミ」と呼ばれることもあります。ジンには、イラスト集や写真集、詩集や雑誌などジャンルがさまざまありますが、ミニコミと呼べばコミックだとすぐにわかります。ジンの一分野として、今やしっかり社会に定着しています。

 ミニコミ作品がまとめられ、通常の書籍として出版されることも多く、私の最初の書籍『Nori』も、2016年につくった16ページのミニコミからスタートしています。お金になるかどうかや、作品のプロモーションになるかどうかとは関係なく、コミックを描いたからには本にして見てもらいたい、そう思ってつくったものです。

 『Nori』の主人公は、ノリコという3歳の女の子です。あだ名はノリ。日本で両親や祖母と一緒に暮らしていて、彼女のいたずら心からさまざまな面白いことが起きるといったストーリーにしています。最初は1冊だけのつもりだったのですが、どんどん話が思いついて3冊目までつくりました。さらに3話分のストーリーを思いついた時点で、本になりそうな量があるなと考え、ミニコミの現物とアイデアをまとめたものを北アメリカにある複数の出版社に送り、そのうち1社から出版されました。

 『Nori』は、コロナ禍に入り、いつもの生活ができず気持ちが沈みがちだった2020年の春に出版されました。「癒された」「元気がもらえた」「ノリが走り回っている姿を見て楽しかった」といった感想が寄せられ、私もその声に励まされたことを憶えています。その後、フランス語にも翻訳され、広く読んでいただけたことも大きな喜びでした。

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原先生の初の著書『Nori』

 子どもの頃は、ちょっとしたことが不思議で、それをきっかけにすぐ冒険が始まります。そうした感覚は欧米でも日本でも変わらず、日本の何気ない街の風景のなかでも、そういう感覚が生まれることを伝えられたのではと思います。欧米と日本では文化も違いますが、人間の日常生活というところでは共通する点も多く、日本でも普通の人間が普通に生きているんだと実感してもらえたようで、そこが私の伝えたかった部分でもあります。

 よくジンやミニコミに対して「つくって何になるの?」「お金になるの?」などと訊かれますが、つくること自体が楽しいですし、販売イベントなどを通じて仲間ができます。それに、私のように出版につながることもあり、どんどん世界が広がっていきます。ジンの販売で生計を立てている人もいますが、お金にはならないことの方が圧倒的に多いので、コミュニティづくりなどお金以外の価値が制作のモチベーションになっている人がほとんどではないでしょうか。与えられたテーマや締め切りに縛られることがなく、やろうと思ったタイミングで始められるのもいいです。

英語版はこちら

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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