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2026.10.02

“明治大学地域産学連携研究センター”取材レポート<後編> アイデアを産業に変える現場

特集
“明治大学地域産学連携研究センター”取材レポート<後編> アイデアを産業に変える現場
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大学の研究シーズを未来の産業に。中小企業との共創の場を――。社会を変える新産業づくりを目指し、研究者と地域の中小企業が連携できる施設が明治大学生田キャンパス(川崎市)にあります。2012年に開館した地域産学連携研究センターです。レンタルオフィスや最新の分析装置などがあり、イノベーションの拠点となっています。

知的財産をカタチに 研究所並みの機器ずらり

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左:3Dプリンター、中:多目的X線解析装置、右:ガスクロマトグラフ質量分析装置

地域産学連携研究センターは、大学と社会のまさに接点。小田急小田原線生田駅から通じる西北門の手前にあります。丘の上にあるキャンパスに向かう通称「生田坂」の登坂を回避する「エスカレーターの建物」として、学生たちに親しまれています。

学生にとってはちょっとうれしい施設ですが、実はその中で、研究成果の社会実装を視野に入れた大学教員や地域の中小企業が、日夜、実験や検証にいそしんでいます。

このセンターができたのは2012年4月です。「教育研究の発展および研究成果の社会還元に寄与すること」を目的としてオープンしました。ウェットラボ仕様のテクノロジーインキュベーション室のほか、時間単位で利用開放されている試験分析・試作加工装置、会議室などがあります。

精密機器や半導体に用いる素材の分析や加工に使える電子顕微鏡、X線解析装置などもあり、中には2億円という高価な装置も。使用料金はかかりますが、専門の技師の補助を受けながら機材を使うことができます。

装置案内 | 明治大学

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地域産学連携研究センター長の榊原潤・理工学部教授

センター長を務めるのは榊原潤・理工学部教授です。「研究者は研究し、論文を書くことが仕事の主体です。実用化はもう一つの出口ですが、企業の方の得意分野です。知的財産をお持ちの方は、教員でも民間企業の方でも構いません。ここでアイデアをカタチにして、世に送り出していってほしいですね」と、センターの利活用に期待を寄せています。

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左:多目的X線解析装置について質問する学生、右:3Dプリンターに触れる学生

流体工学を学ぶ理工学部4年生の江花一輝さんと臼井悠人さんは、榊原教授の勧めで特別にセンターの内部を見学。最新式の3Dプリンターなどに触れて、「これまで原理や法則を突き止めることを重視していましたが、ものづくりもいいですね」と、大いに刺激を受けた様子でした。

知的財産を社会に還元

「産学連携」が急速に進められるようになったのは、1990年代とされています。95年に科学技術基本法(2020年に科学技術・イノベーション基本法に改正)、 98年には大学等技術移転促進法(TLO法)ができ、全国各地で関連施設や組織が作られました。

経済産業省がとりまとめた「大学発ベンチャー実態等調査」によると、2025年10月時点での大学発ベンチャー数は6220社。20年前の2005年に1430社だったことを考えると、格段に増えていることが分かります。

明治大学でもバイオリソース研究国際インスティチュートを始め、世界水準の学術研究及び応用研究の拠点を設置し、研究・知財戦略機構を組織して研究成果の社会還元の下地づくりに取り組んできました。明治大発ベンチャーとして今、注目を集めているポル・メド・テック社(ポル社)を率いる長嶋比呂志・研究特別教授は「大学が産学連携に力を入れていた時期と、私の研究が進んでいった時期が重なったことは幸運でした」と振り返ります。

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ポル・メド・テック社を率いる長嶋教授

「基礎研究における大学の役割は大きいのですが、私は論文を書きっぱなしにするのではなく、出口も見てやろうという気持ちが大きかったのです」。長嶋教授は、大学発の技術や特許がさらなる研究の活性化につながることを願っています。

どんな企業が入居しているの?

テクノロジーインキュベーション室は10室あり、年度ごとに事業進捗のモニタリングを通じて入居者の困りごとをヒアリングしています。現在、ポル社のほかにも大学教員が手がける会社が1社と、民間企業が2社入っています。そのうち、民間企業の1社である磁気デバイス研究所にお邪魔しました。

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左:磁気デバイス研究所の室内、右:同研究所の計測機器

代表は、大手電機メーカーに研究員として勤め、独立して会社を興した上原裕二さん。パソコンなどに含まれる電子部品が熱くなる際のエネルギー損失について調べているほか、各メーカーの依頼を受けて素材となる合金の分析を手がけています。

入居の決め手が何だったかを尋ねると、「このセンターは自宅から近く、インキュベーション室は空調も完備されていて、熱に敏感な素材を計測するのに最適だったからです」という答えが返ってきました。上原さんは博士(工学)の学位を持ち、論文執筆の経験もあります。このラボには理工学部の教授や学生も訪れ、分析結果について意見を交わすこともあります。「磁性体の研究開発は台湾や中国勢が伸びていますが、日本も負けていられません。私たちのラボでやったことが、日本のメーカーの評価につながるとうれしいですね」と語っていました。

よりカジュアルなコワーキングスペースも

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明るく落ち着いた雰囲気のコワーキングスペース

研究室を丸々借りる「入居」は敷居が高い、もっとカジュアルに使いたいという人には、ソファ席やフリーWi-Fiが使えるコワーキングスペースがあります。ディスカッション向きのテーブル席や防音性の高い個室型ブース、眺めの良いカウンター席が用意され、1人でもチームでも利用できます。

このおしゃれなコワーキングスペースは本来、月額の利用料が必要ですが、明治大学が2022年から毎年開催しているビジネス・アイデアコンテスト「明治ビジネスチャレンジ」で最優秀賞を受賞した場合、副賞として1年間の無料利用権を得ることができます。学生の中からも、この施設を拠点として起業に挑戦し、成功する人が出てくるかもしれませんね!

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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