座右の銘、私のモットー先生からの言葉、「人生万事塞翁が馬」
教授陣によるリレーコラム/座右の銘、私のモットー【6】
ことあるごとに、「人生万事塞翁が馬」という言葉を思い出すようにしています。遠回りや、失敗と思えることも、人生の肥やしになっているはず。そう肯定的に捉えるよう心がけています。
この言葉は、博士論文を書いたときの主査の先生が、学位の取得後、メールのやり取りのなかでくださいました。これから研究者として生きていくうえで、自分にとって理不尽なこと、思い通りにならないこともあると思うが、それがあとから良い結果を呼び込むこともある。ものは考えようだから、うまくいかないからといってしょげるんじゃなく、より良い形に転化できるよう頑張っていけという激励でした。
これまでの研究生活の中で、論文の査読で厳しいコメントを出され、不採択と判定されることも経験してきました。さすがに、そのときは落ち込みますが、次の論文をより良くするためのステップだと認識するようにしています。中途半端な状態で公表せずに済んだ、考えようによっては救いの手でもある。実際、コメントをもとにより良い論文にして、別の雑誌に載せていただくこともありました。
さらに大きな視点で自分の人生を捉えると、小学生の頃はバイオリンばかり弾いていて、もともとは音楽家になりたかったんです。でも、超人しか生き残れない世界のように感じ、普通に勉強するようになりました。大学ではオーケストラに所属し、今でもヴィオラを弾いたりして楽しんでいます。しかし、社会人になって数年後に、耳の病気を患いました。気持ちを切り替え、現在の道に進んで結果的に良かったと感じています。
いずれにせよ、失敗も無駄にはなりません。若い頃、自分の研究に直接つながるわけじゃないと思いながら読んでいた論文が、急に活きてくることもあります。何事も「やっていて良かった」と感じることばかりです。一所懸命、取り組んだことは、すべて糧になる。そう思って、過ごすことにしています。
現在は大学教員として、卒業するゼミ生たちに、毎年のように、先生からいただいた言葉をそのまま伝えています。「何かあっても、人生万事塞翁が馬だと思ってやったほうがいいよ」と、軽めに伝えていますが、やはりものは考えようです。今ある環境をいいように捉えるのは、日々、暮らしていくうえでも大切だと実感しています。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。
