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2026.03.26

フードデリバリーサービスの課題をWin-Winで解決する「オペレーションズ・リサーチ」

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オペレーションズ・リサーチの知見で、限られたリソースの効率的な配分を

 フードデリバリーサービスにおいて一度に2箇所へ配達する形式が増えてきたのは、プラットフォーム側と配達員、双方にメリットがあるからです。たとえば1配達を300円で依頼するとして、経由地点を追加した2配達をまとめて450円で依頼すれば、配達員は労力がさほど変わらないまま150円多く稼げます。プラットフォーム側にとっても、1.5倍のコストで売上げが2倍になるのです。

 しかし、このような形式が増えると、以前よりも配達に時間がかかり、顧客満足度が下がることにつながりかねません。また経由地点が近かったとしても、マンションの上層階であれば、かなりのタイムロスになります。どういう状況であれば2個所に配達していいのか、その最適化についても研究しています。

 オペレーションズ・リサーチの研究にとって不可欠なのは、過去のデータです。これぐらいの報酬額のときにクラウドソース型配達員がこれくらい稼働し、こういう日には注文数がこれくらいあり、ここの店は調理に何分かかる。そういったことをこれまでのデータから予測し、その予測精度が高まることで不確実性は少しずつ減っていきます。

 飲食店のシフトも、従来は何曜日が混むといったラフな感じで組まれていました。しかし、昨今のチェーン店であればデータも溜まってきており、天候や気温、過去の来客パターンなどを踏まえて、1カ月後の客数もかなりの精度で見積もれるようになってきています。

 このように比較的身近な場面でもデータに基づく最適化が進んでいますが、オペレーションズ・リサーチの射程はそれだけにとどまりません。

 「どの地域に学校を建てようか」「どこに病院を造ろうか」といった、大規模な課題もオペレーションズ・リサーチのテーマです。影響の大きなものに関しては、誰もが納得できるような形で、より良い意思決定が望まれるのは当然のことです。今後さらに人口が減っていくなか、効率的な運営をしなければ、企業も政府も維持が難しくなるでしょう。限られたリソースを効率的に良い方向へ配分するために、オペレーションズ・リサーチの知見を活かすことが期待されています。

英語版はこちら

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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