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哲学の世界観に触れ、発想の引き出しを増やそう

志野 好伸 志野 好伸 明治大学 文学部 教授

歴史に名を残す偉人から、カリスマ性のある著名人、その道を究めた学者まで。明治大学・教授陣に影響を与えた人物を通して、人生やビジネスに新たな視点をお届けします。

教授陣によるリレーコラム/人生で影響を受けた人物【34】

私の人生に影響を与えた人物をひとり挙げるならば、哲学者で東京大学教授の中島隆博先生になります。

大学の専攻を中国文学にするか中国哲学にするかで迷っていたときに、先生の論文「「荀子」における≪正しい言語の暴力とそのほころび≫」に出合ったのが決定打となり、中国哲学に進学しました。

その論文は、東京大学の大学院生が中心になって創刊した雑誌『中国哲学研究』に掲載されていたのですが、原稿用紙に換算すると600枚を超える大作。

博士論文級の分量に圧倒されるとともに、内容についても従来の中国哲学と決定的に異なるものを感じ、魅了されました。

中国の思想家・荀子(じゅんし)を単に中国の文脈において論じるのではなく、フランスの哲学者・デリダの理論も利用するなど、中国哲学を知らない人にも面白く読める論文になっているのが非常に衝撃的だったのです。

もちろん古典をきちんと読むというのは大前提ですが、中国思想の文脈を越えて、哲学の普遍的な問題を扱ったものとしてテキストを位置づけ、それを現代の観点から解釈していたのが斬新で、私もこの道を目指したいと思いました。

大学3年生で中国哲学専攻に進学した際、中島先生は研究室の助手を務められており、読書会や日々の会話などを通じて常に知的興奮を与え続けてもらったことが、今の私の形成につながっています。

その後、先生とはフランス語の研究書を共訳するなど、幅広い仕事で関わらせていただくようになりました。

皆さんは“哲学”というと日々の生活とは無関係な世界の話に思うかもしれませんが、中島先生は今を生きるわれわれにとっての切実な問題を扱ったものとして哲学をとらえ、一般の方に向けた本もたくさん書かれているので、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

ヨーロッパだけでなく、日本や中国にも様々な伝統の思想があります。そういったものに触れることで、自由な発想を身につけられるようになるかもしれません。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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