明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

ときには原点に立ち戻り思考を巡らす時間を持とう

明治大学 文学部 特任教授 藤井 剛

ときに人生の指針となり、仕事のヒントとなり、コミュニケーションツールの一助となる「読書」。幅広い読書遍歴を誇る明治大学の教授陣が、これからの社会を担うビジネスパーソンに向けて選りすぐりの一冊をご紹介。

教授陣によるリレーコラム/40歳までに読んでおきたい本【41】

吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(岩波文庫・1982年)
丸山眞男『日本の思想』(岩波新書・1961年)

『君たちはどう生きるか』は、近年漫画化され、大ベストセラーとなって脚光を浴びた吉野源三郎氏による小説です。

15歳のコペル少年が多くの悩みに直面しながら精神的に成長していく様子が描かれています。若いときに読むと人生観が変わり、「このままじゃいけない」と衝撃を受ける本です。

政治学者・丸山眞男氏による『日本の思想』は、高校3年生のときに初めて読みました。

日本人の内面生活における思想の入り込み方を構造的な視角から追求し、日本の思想のあり方を浮き彫りにした本ですが、高校生の私には難しい本でした。5行読んでは3行戻り、3ページ読んでは2ページ戻り。泣きながら読みました。

その後、大学に入って少し勉強が進み、3年生の時の自主ゼミでこの本がテキストに取り上げられると、そのときは読み切れたんです。うれしくて思わず泣きました。

よく丸山氏は「民主主義は永久革命だ」と言われていましたが、この本からも民主主義には終わりがないのだというメッセージが伝わってきます。

また、ひとつひとつが孤立しているタコツボに日本の文化をなぞらえた「タコツボ型」の比喩も印象的です。

共通の基盤を持たないままに組織や分野が専門化し、横の意思疎通が困難になる状態を論じていますが、これは現在の日本社会にも当てはまり、タコツボのままではいけないという思いにさせられます。

毎日を慌しく送るビジネスパーソンの方に、「たまには原点に立ち戻って考えてみないか」という思いを込めて古典的なこの2冊をおすすめします。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

  • Facebook
  • Twitter
  • Google+
  • Hatena

連載コラムの関連記事

#2 一度ついた格差は取り戻せない?

2020.1.17

#2 一度ついた格差は取り戻せない?

  • 明治大学 政治経済学部 教授
  • 平口 良司
#1 日本はどうして格差社会になってしまったの?

2020.1.14

#1 日本はどうして格差社会になってしまったの?

  • 明治大学 政治経済学部 教授
  • 平口 良司
現場に目を向け、広い視野で物事を捉えよう

2020.1.9

現場に目を向け、広い視野で物事を捉えよう

  • 明治大学 経営学部 専任講師
  • 鷲見 淳
#5 TOBもM&Aも、一般の生活者には他人ごと?

2019.12.20

#5 TOBもM&Aも、一般の生活者には他人ごと?

  • 明治大学 商学部 教授
  • 名越 洋子
煮詰まったときこそ芸術に触れ、固定観念を破ろう

2019.12.19

煮詰まったときこそ芸術に触れ、固定観念を破ろう

  • 明治大学 経営学部 専任講師
  • 早川 佐知子

Meiji.netとは

Meiji.net英語版

新聞広告連動企画

新着記事

2020.01.15

自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ有効な支援プログラムがある

2019.12.18

グローバルとローカルの出会いを幸せにするグローカリゼーション

2019.12.11

医師の労働時間の改善が、より豊かな医療の実現に繋がる!?

2019.12.04

日本独特の発酵食品をつくる麹菌は日本にしかいない!?

2019.11.27

博物館や美術館には、新たな発見や不思議な出会いが満ちている

人気記事ランキング

1

2020.01.15

自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ有効な支援プログラムがある

2

2017.10.04

精神鑑定は犯人救済のために行うのではない

3

2017.10.18

ゲーテッド・コミュニティの実態に迫り、その“可能性”を探る

4

2019.07.31

万葉集に由来する「令和」に込められた、時代にふさわしい願い

5

2016.05.23

インバウンドとアウトバウンドが逆転した日本が、 観光立国へ向けて…

Meiji.net注目キーワード

【注目!】連載コラム