2024.03.14
- 2019年12月6日
- リレーコラム
#1 M&Aってどういうこと?
名越 洋子 明治大学 商学部 教授日本では、事業価値を高めるためのM&Aが多い
最近、日本でも、TOBによる大きなM&Aが起こるようになり、マスコミなども大きく取り上げます。でも、TOBによるM&Aというと、乗っ取りのようなイメージをもつ人も多いのではないでしょうか。しかし、実は、敵対的TOBは、日本では本当にわずかなのです。
M&Aとはどういうことかというと、Merger(合併)と、Acquisition(株式取得)のことです。
合併とは、2つ以上の会社がひとつの会社となることで、一方の法人格が消滅することになります。
株式取得の場合は、会社は別々に残りますが、一方の会社の株式が一定以上取得されることで支配関係が生まれることもあります。
例えば、過半数の株式を取得すれば、親会社と子会社の関係になり、親会社側は経営陣を送り込むことができます。3分の1の株式を取得すると、その企業の株主総会で、特別決議に対して拒否権をもつことができるようになります。
つまり、経営方針に対して大きな影響を及ぼすことができるようになるわけです。
なぜ、M&Aが行われるかといえば、実は、同業で規模を拡大させることが目的であることが多いのです。銀行が合併してメガバンクを目指すケースなどがそうですし、近年では、様々な業界で、業界再編を目的とした合併が多くなっています。
また、経営不振の企業が合併を依頼したり、出資を依頼して株式の取得を持ちかけ、子会社となって親会社から経営陣を迎え入れることもあります。
いずれにしても、M&Aによって事業価値を高めようとするわけです。
こうした活動は、関係者の協議によって進められるだけではありません。株式公開買い付け制度によって行われることもあります。それがTOBです。
次回は、TOB(株式公開買い付け制度)について解説します。
#1 M&Aってどういうこと?
#2 TOBってどういうこと?
#3 敵対的TOBの成功って、乗っ取り成功のこと?
#4 敵対的TOBが成功しない理由は?
#5 TOBもM&Aも、一般の生活者には他人ごと?
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。