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明治大学発、東日本大震災復興支援の今 ―震災を風化させないために―

松橋 公治 松橋 公治 明治大学 文学部 教授

学長直轄の復興支援のカタチ

松橋公治 副学長 ――東日本大震災から、4年が経過しようとしています。明治大学の復興支援の取り組みにについてお聞かせください。

明治大学は、東日本大震災発生直後の、2011年5月、学長直轄の組織として「明治大学 震災復興支援センター」を設置、運営を開始しました。震災以前から当大学には「ボランティアセンター」がありましたが、それとは別組織として設置したところに、当大学の復興支援の特徴が現れています。復興支援は学生のボランティアが中心となりますが、ボランティア活動に伴う交通費・宿泊費の一部を助成しています。また、学部間共通総合講座「東日本大震災に伴うボランティア実習」を設置し、学生がこの講座を取ることで単位取得を可能としました。さらに、震災に関する教員たちの研究活動や職員のボランティア活動を支援。単なる労働力の供給ではなく、学生、講座、研究・社会連携という3つのアプローチで復興支援に臨み、現在に至っています。学長直轄としたのも、学内横断型の支援体制を構築するためであり、一つの「芸術」作品のように優れた支援のカタチであると自負しています。ちなみに学生ボランティアはあくまで自主性に任せていますから、大学が主体となってバスで被災地に学生を引率するようなことはしていません。

地域ニーズに応じた支援

――具体的にはどのような取り組みを進めてきたのでしょうか。

センターの活動としては、リストバンドの配布による啓発活動を端緒に、年間約500~600人の学生ボランティアによる、瓦礫の撤去から始まった被災地での様々な支援活動を行ってきました。その過程において、自治体間での情報交換、相互協力を円滑に進め、被災地が一体となった復興を側面支援するため「東北再生支援プラットフォーム」を設置、2012年には、岩手県大船渡市、宮城県気仙沼市、福島県新地町の3自治体と震災復興支援を目的とした協定を締結しました。また、千葉県浦安市とも協定を結び、ボランティアの拠点として「浦安ボランティア活動拠点」(2014年3月末で閉鎖)を開設しました。活動の内容は地域によって様々です。たとえば、新地町では、津波により流出した写真や位牌、記念品を保管する「思い出倉庫」の展示、公開を手伝いました。瓦礫の処理や海岸清掃等が一巡した後は、基本的に被災者の方々に「寄り添う」ことが活動の中心になっています。夏祭り等の地域の祭りの設営準備や運営の補助、被災した子供たちとの遊びや学習支援など、地域のニーズに応じた支援を行っています。

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