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動物の移動や行動がわかると、効果的な環境保全もわかってくる

山本 誉士 山本 誉士 明治大学 研究・知財戦略機構 特任准教授(2022年3月退任)

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最近、SDGsなどの浸透もあり、生物多様性保全についての関心が高まっています。一方で、野生動物による農作物などの被害や、街中で野生動物に遭遇する事故がニュースになっています。私たちが野生動物と上手く共生していくためにはどうしたら良いのか。その研究が本学でも進められています。

生物と共生する空間づくりのために

町田 一兵 食料や燃料の供給をはじめ、リフレッシュといった精神面まで、人は自然や生物から、実に様々な恩恵を受けています。これを生態系サービスと言います。

 生態系サービスは、生物多様性によるバランスの上に成り立っています。そのため、例えば、人にとって害になる動物だからと、それらを駆除したり、人間本位の環境開発などを行い続けると、このバランスが崩れ、人間自身の生活や経済にも支障がでてくる可能性があります。

 例えば、最近の街づくりでは、緑地を造ることが重視されるようになっています。確かに、街中に緑地があると、私たちは心が安らぎますし、居住環境の面でも良いことであると思います。しかし、それは主に人の観点から見た効果です。

 動物たちにとっては、緑地はハビタット(生息場所)であり、その配置によっては、利用やハビタット間の移動が制限される可能性もあります。例えば、緑地と緑地の間に交通量の多い道路があったり、常にたくさんの人がいるような場所と隣接していたりする場合などです。

 動物の移動にとって障壁があると、個体間の交流も難しくなり、それは、遺伝的な多様性が損なわれることに繋がっていくのです。生物多様性保全では、「生態系」・「種」・「遺伝子」の、3つのレベルの多様性が重要であると考えられており、遺伝的多様性の損失は種の存続を左右します。

 つまり、生物多様性保全を考えた空間づくりのためには、人にとっての側面からだけでなく、生物にとっても生存しやすい環境を考えることが大切なのです。

 そのときに必要なのが、動物個体を保護することだけでなく、その動物がどこをどのように利用するのか、つまり、点ではなく、「面」で動物の生息地を捉えることなのです。

 実は、人は、動物の移動について、ほとんどわかっていません。身近にいるカラスやスズメ、野良猫ですら、どのように移動し、いつ、どこにいるのか、よく知らないのです。

 逆に言えば、動物たちがどこを、どのように利用しているのかがわかれば、動物の視点から空間づくりを考えることもできるようになるわけです。そのための技術や手法が、近年、非常に進歩してきました。

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