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幻想的に光る「夜光雲」が地球温暖化のメカニズムを解く

鈴木 秀彦 鈴木 秀彦 明治大学 理工学部 准教授

夜光雲の写真は学術研究に役立つ

鈴木 秀彦 では、なぜ、中緯度の地域でも夜光雲が見られるようになったのか。

 まず、考えられるのは、例えば、北海道の上空が極域と同じくらいに冷たくなっているということです。

 ところが、人工衛星のデータを使って、超高層大気の温度を調べたところ、当時の北海道上空は例年と大きく変わっていないことがわかりました。

 つまり、北海道の上空で夜光雲が生成されたとは考えにくいのです。

 そこで、私たちが、いま、仮説として挙げているのは、北極近辺で発生した夜光雲が南向きの風に乗って、冷たい空気と一緒に流されて来たということです。

 実は、超高層大気には、太陽の周期的な加熱によって、半日周期、一日周期で非常に規則的に吹く風があることがわかっています。

 つまり、そのような風に乗って中緯度まで流されても、蒸発しないような夜光雲が北極上空で発生するようになっているのではないか、と考えられるのです。

 しかし、北海道で夜光雲が見られるとすれば、6月の夏至の頃の午前2時または午後9時くらいの時間帯です。ところが、その頃の北海道の晴天率は10%くらいであり、特に早朝は起きている人も少ない時間帯です。

 もしかしたら、昔から夜光雲は来ていても、気づく人がいなかったり、低い雲に阻まれて見ることができなかったりしていた可能性もあります。

 そこで、私たちは、夜光雲を観測するために、カメラをつけた気球を雲の上まで飛ばして、そこから上空を撮影したり、地上からレーザーを当てて探査したりするなどの調査を行っています。

 また、今年からは、日本発着の航空機にカメラをつけてもらい、上空を撮影する取り組みも本格的に始める計画です。

 夜光雲の発生のメカニズムや、その性質、動きなどが解明されていけば、それも、地球全体の環境変動を捉えることに繋がっていくものと考えています。

 北海道で初めて夜光雲が撮影されたとき、新聞などでも、「神秘の光」とか、「幻想的に光る」と報じられました。

 夜光雲は確かにとても美しいのですが、それが中緯度の地域で見られることは、地球環境にとっては決して良い徴候ではないかもしれません。

 しかし、それを察するためにも、皆さんも、日頃から身の回りの自然現象に関心をもっていただければと思います。実際、夜光雲の美しさは一見の価値があります。

 それを国内で撮影した場合は、私たちの研究室(明治大学理工学部物理学科「地球・惑星大気物理研究室」)までご連絡いただけると、大変ありがたいです。

 実は、最近撮影した日時、場所、撮った方角と高度角を記録するアプリ(地平座標計測カメラ)を開発し、Google Play上にリリースしました。また、日本を発着する航空機の航路を確認し、夜光雲を見ることのできる確率の高い便を調査中です。

 そうした情報も、こちらから発信していきたいと考えています。

>>英語版はこちら(English)

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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