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AIがビジネスのインフラになる

明治大学 総合数理学部 准教授 櫻井 義尚

近年、機械学習を中心としてAIのビジネス分野での応用が進んでいます。しかし、海外の企業と比べ、日本の企業はAI戦略において明らかに立ち遅れているといいます。AI活用のポイントと今後の発展についてお話を伺いました。

活用が進むAIによる自動化

櫻井 義尚 コンピュータや機械、AIをビジネスに活かす取り組みは、いまに始まったことではありません。1970年代後半にはOA(Office Automation)化が大ブームとなり、1990年代になるとIT(Information Technology)化が進められました。

 これらは、オフィスの業務をできるだけ人が関わらなくても良い形に自動化し、効率化して、ローコスト化を図るものです。

 そして、近年では、ビッグデータ、データサイエンティスト、人工知能AIに注目が集まり、ビジネスへの活用が様々な分野で進んでいますが、その中で、人がやっていたプロセスを自動化するRPA(Robotic Process Automation、ロボティック・プロセス・オートメーション)に注目が集まり、導入を検討する企業が増加しています。

 海外では既にAIによる大規模な自動化の事例が出てきており、特に金融業界などでは、何百人いたトレーダーを解雇し、AIと数人のエンジニアに業務を任せる企業もあります。

 現在、「第3次AIブーム」と呼ばれていますが、このようにAI活用が進んだ背景としては、様々な要因が重なっています。

 学術界では、2012年、有名な画像認識コンテストILSVRCでヒントン先生のチームがディープラーニングで圧倒的な勝利を収め、その後、機械学習、ディープラーニングとその応用の研究が進んだことがあります。世間的には、2011年、米国の人気クイズ番組JeopardyにてIBMのWatsonがクイズ・チャンピオンに勝利し、2015年、Googleによって開発されたアルファ碁がプロの囲碁棋士を破ったことが、メディアによって大きく報じられるなどが続き、「AIは膨大なデータをものすごい早さで学習し、人間の能力を凌駕することができる」と多くの人に思われたことが大きいと思います。

 そして実際に、実用面での応用例が多数出てきたことが今のAIブームを加速しました。その根底には、今のAIブームの中心技術である機械学習に必要なビッグデータの存在や高速計算環境、ツール・ライブラリの整備などがあります。また、人材面では、第2次AIブームからのAI人材の豊富さも重要な要素でしょう。

 このように環境が整った上で起こった今のAIブームは、ある意味必然の流れであり、ITが一般化されたように、AI活用も継続的に続き、ブームというより当たり前に使われるインフラ的な存在になっていくと思われます。

 しかし、全てが順風満帆かというと、そうではありません。AIのビジネス活用には様々な難関があるのが現状です。つぎにこれらについてお話しましょう。

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