
2023.03.23
明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト
明治大学公式キャラクター「めいじろう」 上の新聞広告をご覧になった読者の方は、広告を手にもって、目の前でくるくる回してみたり、揺らしてみたりしてください。図形の中に何かが見えてきませんか?
なんと図形の中に、明治大学公式キャラクター「めいじろう」が現れます。これは、図形を動かすことによって、その方向に明るさが平均化された図形が見えてくるためです。同じ理由から、この図形を目から遠くに離しても(その場合は、くるくる回す必要はありません)、やはりめいじろうが見えてきます。手元に新聞がない方も、PCから離れたり、スマホを揺らして見てみてください。
実は上の広告には、もう一つ秘密があるんです。左下の文章をよく見てください。不自然に短い行があったり、長い行があったりすると思いませんか…?
文字通りめいじろうの視線の先、やじるしに沿って文章の最初の文字を縦読みすると……。
もう分かりましたね。そうです。「先 端 数 理 科 学 の 明 治」という言葉が浮かび上がってくるんです。私たちは常識や今までの経験から、何の疑いもなく、文章を左から右に読んでしまいます。しかし、少し視点を変えて、世の中の常識や目の前のことを疑ってみることが、新しい発見につながるかもしれません。
めいじろうのダイエット 今回の図形を制作した、明治大学 先端数理科学インスティテュート副所長 杉原 厚吉 特任教授は数学を使って目の錯覚の仕組みを調べる研究を行っています。
上面にめいじろうのイラストが描かれた2つの箱があります。左の箱に描かれためいじろうは、右の箱に描かれためいじろうよりやせて見えます。しかし、この二つのめいじろうは、2次元図形として全く同じもので、重ねるとぴったり合います。
実は、めいじろうだけでなく、二つの箱の上面の平行四辺形自身も、2次元図形として全く同じもので、重ねるとぴったり合います。同じものなのに違って見えるのは、これらの図形が厚みのある箱の上面として描かれているために、私たちの脳が奥行方向の大きさを補正して解釈するためです。この現象は、シェパード錯視と呼ばれています。
「めいじろうのダイエット」印刷用データは >>こちらから ダウンロードできます。ダウンロードしたら紙に印刷し、めいじろうが載っている上面(上記画面の白地になっている四角部分)を切り抜いてみてください。不思議なことに、重ねるとぴったり同じになります。ぜひ一度お試しください。
このような錯覚は、平面だけでなく、立体でも数学の力を使い、表現することが可能です。杉原研究室では、「不可能モーション立体」の研究、制作も行っています。立体自体はありふれた形ですが、そこに動きを加えるとありえないことが起こっているという印象を作り出す立体が「不可能モーション立体」です。棒がありえない向きに窓や隙間を貫通したり、玉がありえない方向へ転がっていったりします。
Meiji.netでは、以前にも計算錯覚学を取り上げ、杉原先生にインタビューを行っています。
>>動画でわかる!「計算錯覚学」 ―だまし絵が立体に!?生活の中にも潜む不可能立体の世界と錯覚の不思議―
驚きや面白さのインパクトから取り上げられることの多い錯覚の世界ですが、実は社会の様々なシーンで数多く活用されているんです。「数学」や「研究」というと、言葉のイメージから難しく捉えがちですが、普段の私たち生活とも関わりが深いと知ると、少し身近な存在に感じることができませんか?
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。