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【特別号】箱根駅伝優勝を夢見て ―競走部に懸けた20年間の奮闘の軌跡―

松本 穣 松本 穣 明治大学 名誉教授(元商学部教授)

感動と人の縁を持ちきれないほどもらった バカが付くほど一生懸命やって損なことなどない

2014年11月の全日本大学駅伝。過去最高の2位でゴールした選手を迎えて思わず涙 「努力は絶対裏切らない」
これは、競走部のマネジメントにおいても、プレイヤーとして練習を重ねる個人においても言えることだと思っています。一つひとつ課題を根気強くクリアすることで、競走部は、私が着任してからちょうど10年目の2005年に、念願の箱根駅伝本選出場を成し遂げることができました。このときの成績は18位。下に一校を残してのブービーでしたが、遂に『M』のユニフォームがあのコースに戻った瞬間です。最後に出場した1991年から実に14年が経過していましたが、この一歩がとても重要なことです。選手の頑張りと、コーチの指導、在校生、OB、関係者たちの応援によって明治は着実に順位を上げていく、その一歩なのですから。私の役目は半ば成し遂げられたようなものでした。
もともと私は、競走部の部長をやる前は、学生に『ご飯』を食べさせることばかりが大好きだというような無趣味な男だったので、女房と二人で裏方に回って、必要な時に必要なことをやるというスタイルに徹しました。
思えば、たくさんの学生を下宿させ、数えきれないほど学生と寝食をともにしてきましたが、『ご飯』と言えば最近では鎧坂 哲哉(12年経営卒)という選手を思い出します。現在では旭化成に所属している選手です。大学入学後、学業、練習にと励んでいましたが、なにかと昼飯を抜いているような様子でした。うちの女房が「食べなきゃだめ」とだいぶ『ご飯』を食べさせていたものです。2012年の箱根で明治が最後に早稲田大学を抜いて3位になったときに、ゴールしてそのまま「先生やったぜ!」と、汗が滴るまま私の腕の中に一直線に飛び込んできてくれたことが今でも忘れられません。
やはり、結果が出ると嬉しいものです。今までに起こった嫌なことなどは一瞬で吹き飛んでいきます。この20年間で、努力の大切さを再確認できましたし、なにより選手たちからは感動を胸に余るほどたくさんもらいました。それから人の縁もたくさんいただきました。最近では、全国の主要な駅伝に続けて出場できるようになってきましたが、「明治が来るのを待っていたよ」と、日本中のたくさんの人たちに喜んでもらえています。もう本当におなかいっぱいです、と言いたいところですが、箱根での優勝だけはまだ経験していません。もし今回優勝できたら、私はそのまんま逝ってしまってもいいなあ(笑)。明治の優勝を見て、明治大学の同窓の古女房に看取られて、最高の人生だな、と(笑)。
私は定年退職と共に、20年間人生を懸けてきた競走部の部長を辞するわけですが、元気である限り、何らかの形で引き続き競走部を陰ながら支えて行きたいと思っています。勝負は水物な部分があるので「優勝できるかどうか」はなんとも言えませんが、皆さまには、是非、明大競走部の箱根での力走を、その眼でしかと見届けて欲しいと思っております。

※掲載内容は2014年12月時点の情報です。
>>英語版はこちら(English)

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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