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補助金を巡る意識改革が必要

石津 寿恵 石津 寿恵 明治大学 経営学部 教授

補助金の使われ方に私たちはもっと関心を持つべき

 ちょっと違った側面から考えてみましょう。消費者にサービスを提供するサブスクリプションで考えてみてください。企業はあらかじめ年単位や月単位の会費をユーザーから受け取りますが、これは収益でしょうか。

 ユーザーと約束したサービスを提供できなかったら、途中解約されるかもしれませんし、場合によっては会費の返還を求められるかもしれません。

 つまり、ユーザーと約束した期間、約束したサービスを提供して初めて、事前に受け取っていた会費は収益となるのです。ある意味補助金も同様に考えることができるのではないでしょうか。

 もちろん、サブスクリプションの場合は、ユーザーとの間に明確な契約があります。補助金には様々なタイプがありますので、例えば、各補助金が国や地方自治体と企業による契約にあたるのかどうかは、法律関係の専門家を交えて議論を深める必要があります。

 ただ、アメリカの会計では、補助金を一種の条件付き債務のようにと捉えられている部分があります。この場合補助金には紐(果たすべき条件)がついており、その条件が果たされない限りは、債務と捉えられます。

 一方、私たち市民の視点から見れば、補助金の原資は私たちが納めた税金です。補助金が「私たちの生活向上や、より良い社会への誘導」のために使われるのは当然のことです。

 それが不正受給されたり、適切な活用がなされないなら、それを糺す声を上げて然るべきなのです。

 欧米などに比べて、日本ではそういった声が起きにくいのは、日本では会社に勤めている人が源泉徴収によって税金を自動的に徴収されているからかもしれません。

 自分がいくら納税しているのか、知らない人も多いと思います。しかし、税金の使い途に対して、私たちはもっと関心を持つべきです。

 自分が確認して会費を払ったサブスクリプションが、期待通りのサービスを提供しなかった場合、だれでも怒ると思います。補助金も、実は、これと類似する面があるのではないでしょうか。

 補助金を受け取る側は、貰って終わりではなく、受け取ることは始まりだと捉えてその役割を果たしていく必要があります。また、納税者である私たちはその使われ方について関心を高める必要があるのではないでしょうか。

(極力専門用語を使わないようにしたため、概括的記載になっている部分があります)

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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