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SDGsは、企業の社会における存在意義を問うもの

明治大学 経営学部 特任教授 関 正雄

近年、SDGsの認知が広がり、SDGsを経営に取り入れる企業が増えています。しかし、企業においても、私たち一般市民においても、まだ、SDGsの本質を理解していないのではないかという指摘があります。SDGsの本質とはどういうことなのでしょう。

SDGsとは私たちの「いま」と「未来」を救う道しるべ

関 正雄 最近、SDGsという言葉をよく耳にするようになりました。しかし、SDGsを美しい言葉を並べた高邁な理想のように理解している人が多いように感じます。

 SDGsの本質は、むしろ、私たちみんなの切実な問題を解決するための具体的な道しるべなのです。

 それを理解すれば、SDGsは身近な存在であり、私たちにとって、また地球にとって、必要なアクションを考えさせ行動へと導いてくれるものであることが見えてくると思います。

 SDGsは公式には「持続可能な開発目標」と訳されますが、個人的には「持続可能な発展目標」と捉えています。つまり、誰かが政策や資金を導入して外部から状況を変えてくれるようなものではなく、私たち自身が当事者として取り組むことで、私たち自身の発展に繋がるという感覚です。

 さらに言えば、現在の社会は持続不可能であり、一人ひとりが、そして全員が総力をあげてこの目標に取り組まなければ、私たちの未来はないということです。

 このことを最初に指摘したのは、1972年に、有識者による組織であるローマクラブが発表した「成長の限界」というレポートです。

 世界の人口が幾何級数的に増大するなかで、地球の許容量が限界にくることを指摘し、そうなる前にいま、なにをすべきか考えることを提言したのです。

 そして1987年には、国連ブルントラント委員会によって「Sustainable Development(持続可能な発展)」という概念が定義されました。

 それは、将来世代を犠牲にしないという環境配慮の重要性と、同時に、現世代においてニーズが満たされていない貧困層のニーズを満たしていくことの必要性を訴えたものです。

 すなわち、未来と現在の課題に対して、どちらかを選択するのではなく、両方とも同時に解決に向かって取り組むことが、「持続可能な発展」であるということを明らかにしたのです。

 こうした動きを受け、1992年に、リオデジャネイロで「地球サミット」が開かれ、環境に関する双子の条約である気候変動枠組条約と生物多様性条約、そして「リオ宣言」が採択されました。

 さらに、2000年には、貧困撲滅を中心とした発展目標であるMDGsが国連によって示されたのです。

 そして、2015年、このMDGsを継承し、さらに経済と環境の目標を加えてバージョンアップされた、17の目標と169のターゲットから成るSDGsが、国連サミットで採択されました。

 このように、人類は着実に「持続可能な発展」の理念を、具体的に何をすべきかという行動目標にまで具体化し、共有するに至ったのです。

 しかし、残念ながらそうしているうちに、気候変動問題は解決するどころか非常事態宣言が出されるほどの危機的状況になってしまいましたし、MDGsの目標であった貧困人口の半減は達成されたものの、まだ取り残されたままの人たちの状況は深刻です。

 この状況を打開するためには、いままで取り組んできたことを継続するだけでは十分ではない、すなわち、私たちの「いま」も「未来」も救えないことがわかってきたのです。

 もっと大きな視野で、世の中の仕組み全体を構造的に変えること、社会や経済のシステムから人々の行動まで、すべてを変容させる、トランスフォーメーションを起こすこと、それがSDGsによって求められていることなのです。

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