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2018.08.31

#2 民泊の問題点は改善できるの?

#2 民泊の問題点は改善できるの?
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民泊新法により、民泊の問題点を正す規制が設けられた

民泊は、大きく2つの形態に分けられます。ひとつは、マンションの空き部屋や空き家を宿泊者に貸し出す家主不在型(B2C型)。もうひとつが、住居の一室を家主が宿泊者に貸し出す家主居住型(P2P型)です。報道などでも取上げられる、宿泊者による夜間の騒音や、ゴミ出し、喫煙マナー違反などに対して、近隣住民から苦情や不安の声が上がるケースは、ほとんどがB2C型です。また、麻薬取引などの違法行為や殺人事件が起きたのもB2C型でした。一方、家主による盗撮など倫理的に問題がある行為は、B2C型でもP2P型でも起きています。こうした点が民泊の負の側面として問題視されるのは、ホテルや旅館などの従来の宿泊業では、ハード(宿泊施設)とソフト(スタッフ)がセットで制度設計され、最初から完成された商品として宿泊者に提供されるのに対して、民泊はハードもソフトも宿泊サービスとしては不十分な、いわば半商品化の段階にとどまっているからです。

そこで、民泊新法では様々な規則が設けられています。例えば、家主は住宅宿泊事業者となり、最終的な責任を負うことになります。B2C型のような家主不在型の場合は、住宅宿泊管理事業者に住宅の管理を委託することが義務づけられました。住宅宿泊管理事業者は、宿泊者の本人確認と宿泊名簿の作成、カギの管理、部屋の衛生管理処置、宿泊者へのゴミ出しルールの告知や近隣とのトラブルの対応など、民泊運営の基本的な管理業務にあたります。家主がこの義務を怠り、問題が生じた場合はペナルティや罰金が科せられ、最終的には住宅宿泊事業者としての登録が取り消されることになります。また、管理を委託された住宅宿泊管理事業者も同じで、管理を怠った場合は住宅宿泊管理事業者としての登録を取り消されることになります。このように、民泊の問題点を改善し、健全なビジネスモデルとして制度設計していく方向が示されたわけです。

次回は、地方公共団体の対応について解説します。

#1 なぜ民泊が必要なの?
#2 民泊の問題点は改善できるの?
#3 民泊を規制する地方公共団体の条例は法律と対立する?
#4 P2P型には、B2C型の民泊にはない魅力がある?
#5 日本に民泊は定着する?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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