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#2 日本では政治目的のフェイクニュースは少ない?

明治大学 情報コミュニケーション学部 准教授 清原 聖子

「フェイクニュース」は単純な偽情報だけではない

アメリカのトランプ大統領は、自分に敵対する報道を行う主要メディアをフェイクニュース・メディアと名指しで批判しますが、アメリカに比べると、日本では、新聞やテレビなど既存の大手メディアの報道に対して、フェイクニュースと言うことはあまりないのではないでしょうか 。その大きな理由のひとつは、アメリカではメディアの分極化があることが挙げられます。1980年代にフェアネス・ドクトリン(公平・公正な報道)のルールがなくなったことと、もともとこのルールに縛られていなかったケーブルテレビの普及があいまって、大手メディアも政治的に右と左にはっきり分れるようになったのです。そのため、2016年の大統領選挙のときには、トランプ支持者は保守系のFOXNEWSを主な情報源としたのに対しクリントン支持者はリベラル系のCNNを見て、逆にFOXNEWSをほとんど見ませんでした。両サイドとも、自分の好みを主張するニュースしか見ないのです。日本では放送法4条により、放送局は政治的に公平であることが規定されています。新聞には、イデオロギー的特徴や、論調の違いがありますが、アメリカほどメディアの分極化が進んでいるわけではありません。

アメリカの、この場合の「フェイクニュース」は、「事実」が問題ではなくなり、それぞれのサイドで、自分たちが見たいニュースを真実だと思っている、と指摘され、アメリカ社会の分断の深刻さとともに、フェイクニュースの複雑さを表わしています。日本でも、選挙に関する調査をしたときに、自分と政治的な考えが違うニュースに対しては、それはフェイクニュースに見えるという傾向がありました。こうした点を考えると、フェイクニュースの問題は、偽情報の発信者側の意図の問題だけでなく、情報を受取る側の意識を高めることも重要であると言えます。

次回は、フェイクニュースの特徴について解説します。

#1 フェイクニュースって、なに?
#2 日本では政治目的のフェイクニュースは少ない?
#3 フェイクニュースの拡散は防げる?
#4 法によるフェイクニュース対策を望む?
#5 メディアリテラシーって、なに?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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