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公的年金を「百年安心保険」というのは理由がある

政府は、公的年金制度を「百年安心保険」と喧伝してきました。それにはある理由があります。よく知られているように、日本の年金制度は、現役世代の払う保険料で、高齢者の年金を負担する構造です。現在は約2人の現役世代で、1人の高齢者を支えています。しかし、少子高齢化が進む現状では、20年後ぐらいには1.2人で1人を支えることになると考えられます。年金制度が破綻するという不安は、この少子高齢化が根拠になっていますが、実は、厚労省が決める保険料は、こうした状況がすべて織り込み済で計算されています。つまり、現在は年金を給付しても余るほどの保険料を徴収しているのです。その余剰金を運用しておき、給付金が保険料を上回るようになったときに、それを使っていくという計画です。現在、その余剰金は、なんと150兆円に達しています。なるほど、これなら日本の公的年金制度が簡単に破綻することはないでしょう。「百年安心保険」と言えるはずです。

こうした構造はあまり報道されていないので、知っている人は少ないと思います。では、この話を聞いて、皆さんは安心したでしょうか。あるいは、何かおかしいと思うでしょうか。実は、この「百年安心保険」の仕組みこそ日本の年金制度の大きな問題点だと、私は思うのです。

次回は、年金の余剰金の問題点を説明します。

#1 そもそも公的年金の仕組みってどうなっているの?
#2 年金保険料は払い損になる?
#3 日本の年金制度は破綻する?
#4 年金の資金は余っているの?
#5 年金の余剰金は増えるのに給付額は減る?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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