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#3 ワーク・エンゲージメントが高いのはどんな人?

明治大学 情報コミュニケーション学部 教授 牛尾 奈緒美

自分を肯定し自信をもつ「自己効力感」を育む工夫が必要。

私は、IT関連で働く人たちを対象に、労働調査を行いました。ワーク・エンゲージメントが高い人、中間の人、低い人で等分に分けて、仕事時間による負担感を調べたところ、1ヵ月の残業時間が45.5時間までは負担感に大差はありませんでしたが、それを境として、ワーク・エンゲージメントが高いグループとそれ以外のグループでは大きな差がついていくことがわかりました。つまり、仕事に対するモチベーションが高く、イキイキと仕事をしている人たちは、長時間労働でも仕事を重荷とはあまり感じず、したがって、メンタルヘルスの悪化も起こりにくいのです。

では、なぜワーク・エンゲージメントに差が生まれるのでしょう。ひとつには、個人的資質があります。カナダの心理学者アルバート・バンデューラは「自己効力感」という概念を提唱しています。自身の有能感とか、自尊心、自信、自己を肯定するセルフイメージのことで、幼い頃からの小さな成功体験の積み重ね(勉強で褒められたり、運動で1等になったり、習い事で課題をクリアするなど)によって培われ、この自己効力感が高い人は、ワーク・エンゲージメントが高くなると言われます。では、幼い頃に褒められたり成功の体験が少なかった人は自己効力感を高められないのか、といえばそんなことはありません。大人になってからでも、自分の中に小さな目標を立て、それができたら自らを褒める、ということを繰り返し、自分で自己効力感を高めていくことができます。なにより、自己効力感という概念を知り、そういう精神状態になれるように自己啓発していくのは大人ならできる工夫です。

また、会社の労働環境もワーク・エンゲージメントに大きく関係します。ワーク・エンゲージメントを高めることは、従業員のメンタルヘルスの悪化を防ぐとともに、労働生産性を高め、企業の活力、ひいては業績にもつながっていくのですから、会社のトップや管理職の方々は、何よりもまず取組むべき課題だと思います。

次回は、ワーク・エンゲージメントを高める労働環境について紹介します。

#1 長時間労働を是正すればすべてが上手くいく?
#2 ワーク・エンゲージメントって何?
#3 ワーク・エンゲージメントが高いのはどんな人?
#4 会社の工夫でワーク・エンゲージメントは高くなる?
#5 仕事時間が短くなったら何をする?#5 仕事時間が短くなったら何をする?
#6 長時間労働是正がダイバーシティの推進を生む?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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