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#2 父親が育児をすると子どもの能力が高まる?

藤田 結子 藤田 結子 明治大学 商学部 兼任講師

父親が育児をすると子どもの非認知能力が高まるというデータがある。

実は、男性が育児をするメリットは、妻のためばかりではなく、子どもにとっても良いという研究結果があります。母親ひとりで育てるよりも、父親が育児をすると、子どものボキャブラリーが増えたり、いま話題の非認知能力が養われるというのです。非認知能力とは、社交性とか、自尊心、忍耐力などの能力で、IQ(知能)よりも、将来の社会的成功に結びつきやすい能力といわれています。もちろん、子どもの能力を高めることだけが育児の目的ではありませんが、あまりにも父親と接する機会のなかった子どもは、大人になっても、年上の男性との接し方がわからず、怖がるという例もあります。本学でも、同世代の男子や女性の教員とは普通に喋っているのに、就活の際、年上の男性の前では上手く喋れなかった、という男子学生の話を聞きます。育児における父親の不在が関係しているのではないかと思います。

最近の若い男性は、育児に積極的だといいます。実際、アンケートを取ると、男性も育児をするべきと答える男性がとても多くなっています。しかし、休日には5~6割の男性が育児をやっているものの、平日は約3割です。しかも、時間でみると、平均して1日約30分ほどです。これでは、やっていると言いながら大してやっていない、という妻の不満の声が聞こえてきそうです。しかし、労働時間の長い日本で、男性が平日にも育児をするのは大変なことでしょう。ときには、妻は感謝の言葉を言うことも必要です。そうした気持ちと言葉で、夫の育児をする時間が増えていくこともあります。もちろん、夫も、育児に頑張る妻に感謝の言葉を言いましょう。育児は協力してするものなのですから。複数の人の手で育てた方が能力の高い子に育つというのは、当然のことなのです。

次回は、育児について会社の理解を得る方法について紹介します。

#1 「育児をする妻はイライラするもの?
#2 父親が育児をすると子どもの能力が高まる?
#3 育児のために定時で帰れるようになる?
#4 育児支援サービスに頼っても良い?
#5 社会が変わらなければ育児も変わらない?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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