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#6 コラーゲンはやっぱり身体に効く?

明治大学 商学部 教授 浅賀宏昭

コラーゲンペプチドを摂ると、コラーゲン合成のスイッチが入る

コラーゲンはもともと私たちの身体を構成する重要な成分です。加齢に伴い、これが減少すると、肌の張りが失われたり、関節が悪くなって痛んだりするなどの症状が出るため、コラーゲンを配合した食品や化粧品がつくられてきました。このような形でコラーゲンを食べたり塗ったりすることで効果が得られるのかどうかについては、これまでもさんざん議論されてきました。おそらく、食品メーカーも化粧品会社も、販売を始めた1990年ごろはコラーゲンを増やすという確信はなかったはずです。実は、私自身も、その頃、コラーゲンを増やす効果は期待できないと言っていました。その理由は、コラーゲンは三重らせん構造をした特殊かつ大きなタンパク質だからです。もっと言えば、この三重らせん構造は私たちの消化酵素では切れない(変性した後であれば切れる)上、そのままでも吸収されないからです。

ところが、コラーゲンを酵素で限定的に分解し、分子が比較的小さいペプチド状にしてから、それらを摂取していただくという試験を行うと、体内のコラーゲンが増えていることを示すデータが報告されました。ただし、これについては、消化酵素でさらにアミノ酸にまで分解されてから吸収されるとも考えられるので、疑う人も多かったのです。ところが、その後で、ペプチドはその状態のままでも吸収されることがかなりあるとわかってきました。

もちろん吸収されたペプチドが体内でつながってコラーゲンに再生することは決してありません。私たちの細胞は、周囲にコラーゲンがあると落ち着く(コラーゲンもほとんど合成しない)性質があるのですが、ペプチドがあると、周囲に壊れたコラーゲンが多いと認識し、コラーゲンを活発に合成しはじめる仕組みがあるということのようです。こうしたエビデンスが幾つも報告されてきており、コラーゲンペプチドを関与成分とした機能性表示食品も出始めています。

まさに「瓢箪から駒」、「嘘から出た実(まこと)」のような話です。コラーゲン(正確にはゼラチン)が入っている鍋物が身体(特に肌)に良いなどと言われていたのは、単なるプラセボ効果によるものではなく、ペプチド状に消化しやすい状態で摂っていたからかも知れないということなのです。そのときの科学では説明が難しくても、後で正しいことが分かったという経験則の一例かも知れません。

ところで、理想的なバランスの食事といわれる和食も、長い年月を経て経験則を積み上げてできたものです。それが加工食品などの増加で栄養のバランスが崩れ、健康維持のために保健機能食品が必要になったという側面もあります。そう考えると、昔から言われる食べ合わせが良いとか悪いなどの言い伝えなども、全て迷信として無視するのではなく、「温故知新」の精神で見直してみるのも良いのかもしれません。

#1 トクホって、何がすごいの?
#2 一般のスポーツドリンクに効果はある?
#3 カルニチンを摂ればやせられる?
#4 ビタミンEはたくさん摂れば効果も大きい?
#5 トレハロースが人類の夢をかなえる?
#6 コラーゲンはやっぱり身体に効く?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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