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#5 トレハロースが人類の夢をかなえる?

明治大学 商学部 教授 浅賀宏昭

生体物質の老化を抑える夢のような機能が期待できる!?

私が注目している成分のひとつに、トレハロースがあります。これは、単糖類のブドウ糖が2つ結合してできる二糖類といわれるものの一種です。人工甘味料のようなイメージを持たれることもありますが、キノコや藻類、酵母などに多く含まれる天然の成分です。このトレハロースは、生物体が極度の乾燥の危機にさらされるときに重要な働きをすることで知られています。

例えば、パン作りに使われる乾燥酵母は、水を加えると休眠から醒めて生命活動を再開し、発酵してパンを膨らませます。土の中にいるクマムシという緩歩動物も乾燥すると「樽」と呼ばれる形になり、死んだように動かなくなりますが、水分が得られると、再び形を変えて動き出します。クマムシも酵母も体内にトレハロースを蓄えているのです。トレハロースには、非常に優れた保湿機能だけでなく、タンパク質やデンプンなどの生体物質が乾燥や時間が経つことによって受ける変化=ダメージを抑える機能があります。

コンビニエンスストアで、さまざまな食品の表示を見てください。今では、生菓子などをはじめ、おにぎりなどにも、パサつきを抑え鮮度を保つためにトレハロースが使われています。特にしっとりした食品に欠かせないものになってきていますね。甘味は弱いのですが、これが応用範囲を広げているということもあります。化粧品にも既に使われていますね。

さらに私が注目するのは、トレハロースを摂ることで、私たちの身体の加齢に伴う劣化、すなわち老化を抑えられる可能性があるということです。この研究はすでに進められており、私たちのタンパク質などの劣化を抑えるというような単純な効果ではないかもしれませんが、ポジティブな研究発表が報告され始めています。将来は、究極の(?)アンチエイジング成分となるかもしれません。

かつては、このトレハロースを抽出・精製するのに莫大なコストがかかったのですが、日本のバイオ企業が世界に先駆けて1990年代半ばに大量生産技術の開発に成功したので、廉価になり、食品に使えるようになったという経緯があります。日本発ともいえるこの成分からは、今後も目が離せないと思っています。

次回は、最近、再び注目されるようになったコラーゲンについて紹介します。

#1 トクホって、何がすごいの?
#2 一般のスポーツドリンクに効果はある?
#3 カルニチンを摂ればやせられる?
#4 ビタミンEはたくさん摂れば効果も大きい?
#5 トレハロースが人類の夢をかなえる?
#6 コラーゲンはやっぱり身体に効く?

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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