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#2 どんな悪徳商法も投網に掛ける消費者契約法

  • 明治大学 法学部 教授
  • 川地 宏行

不当勧誘による契約は原則として取り消せる。

悪徳商法の類型を問わず、不当勧誘があれば消費者に契約の取消権を認めるのが消費者契約法です。消費者契約法は、特定商取引法(旧訪問販売法)のように不当勧誘が起こりやすい取引を類型化してクーリング・オフを認めるというような法律ではありません。事業者と消費者の間で結ばれた契約であれば、すべてに適用されます。

消費者契約法では、まず、不当勧誘による契約は取り消せると規定しています。
詐欺まがいの不実告知や、「絶対に儲かる」などの断定的判断の提供も不当勧誘事案にあたります。また、消費者の家にやって来た事業者に「出て行ってくれ」と言ったのに出て行かなかった不退去。逆に、消費者が店舗や事務所から出て行くのを妨害した退去妨害も、強迫まがいの勧誘として不当勧誘事案になります。クーリング・オフのように無条件に契約を解消することはできませんが、不当勧誘があったことを証明できれば、クーリング・オフの期間(8日間)が過ぎていても、契約を取り消すことができます。

さらに、消費者契約法には不当条項規制も盛り込まれました。消費者にとって不当な内容の契約条項を無効にする規定です。例えば、一週間前のキャンセルでも全額を支払うという契約条項があったとしても、その条項は無効とされ、キャンセル料は平均的な損害額の範囲内となります。事業者が、消費者は契約書の内容を確認して契約したと主張しても、それは認められません。

このように、現在では、特定商取引法において特定の取引類型についてはクーリング・オフが認められており、また、売買契約などが取り消された場合は割賦販売法によって信販会社への返済を拒絶できる規定が設けられています。そして、特定商取引法の対象となっていない取引類型やクーリング・オフの期間が過ぎた場合でも、詐欺まがいや強迫まがいの不当勧誘があれば消費者契約法によって契約を取り消せる仕組みとなっています。さらに、適格消費者団体によって、不当な契約条項の使用を差し止める訴訟を起こせる制度が2007年に、損害賠償請求訴訟を起こせる制度が2016年に施行されました。消費者を保護する法律は年々拡充しているといえます。しかし、その上には、契約の拘束力を大前提とする民法があることは知っておいてください。どのような事業者との契約であれ、契約は慎重に行うことが重要です。

次回は、法律によって消費者を救済した事例について解説します。

#1 悪徳商法に泣き寝入りしない!消費者保護の法律を学ぼう!
#2 どんな悪徳商法も投網に掛ける消費者契約法
#3 トラブルの多くは、クーリング・オフで解決できる
#4 特定商取引法の対象外には消費者契約法を適用

プロフィール

川地 宏行

明治大学 法学部 教授

研究分野
民事法学 民法(財産法)
研究テーマ
金銭債権の保全・管理・回収上の諸問題、金融サービス業者の民事責任、キャッシュレス支払手段
主な著書・論文
  • 『外貨債権の法理』(信山社)
  • 「偽造・盗難キャッシュカードによる預金の不正引出と責任分担」(専修大学法学研究所紀要27号『民事法の諸問題ⅩⅡ』)
  • 「利息制限法・貸金業法の改正によるみなし弁済規定の廃止と民事法上の課題」(クレジット研究38号)

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2017年4月20日
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2017年4月14日
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5.18国際博物館の日記念 特別展示「ホンモノの偽札を見てみよう」4月26日~6月3日 平和教育登戸研究所資料館で開催
2017年4月17日
明大発の新たな技術がアスパラガス栽培の 普及を推進! ~「採りっきり栽培Ⓡ」普及に伴う地域農業との連携~
2017年4月17日
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2017年4月13日
明治大学現代中国研究所出版記念シンポジウム『現代中国と市民社会-普遍的《近代》の可能性』4月22日(土)駿河台キャンパスで開催
2017年4月06日
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2017年3月24日
国際武器移転史研究所研究叢書2 榎本珠良編『国際政治史における軍縮と軍備管理』2017年3月刊行
2017年4月21日
朝日新聞、読売新聞、毎日新聞など(4月21日朝刊)/「国と地方のあり方」をテーマに衆院憲法審査会が行った参考人質疑についての記事に、参考人として出席した大津浩教授(法学部)による意見が掲載されました
2017年4月21日
日本経済新聞(4月21日朝刊)/「かがくアゴラ」に、福原美三学長特任補佐による記事「大学ネット授業 日本人少なく」が掲載されました
2017年4月21日
中日新聞(4月20日朝刊)/関西電力美浜原発1,2号機等の廃炉認可についての記事に、勝田忠広准教授(法学部)のコメントが掲載されました
2017年4月21日
日本農業新聞(4月20日朝刊)/高校生の農村体験を受け入れる「信州せいしゅん村」についての記事に、小田切徳美教授(農学部)のコメントが掲載されました
2017年4月21日
毎日新聞(4月19日朝刊)/高齢者らの住宅確保などに関する改正法についての記事に、園田眞理子教授(理工学部)のコメントが掲載されました
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モーニングCROSS(TOKYO MX・4月19日放送)/野田稔教授(グローバル・ビジネス研究科)がゲスト出演しました
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