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#5 LDについての理解が深まり、学ぶ意欲が高まった小学生のBさん

  • 明治大学 文学部 教授
  • 伊藤 直樹

世の中の気になる出来事をピックアップし、明治大学の教授陣がその専門的な視点からみなさんへのアドバイスを連載形式でお届けするトレンドウォッチ。今回は教育の現場について取り上げます。しばしば現場では、特別な支援が必要な子どもたち、特に、発達障害のある子どもたちに対して、学校・保護者・専門家がどう向き合えばいいのかが議論されます。今回は臨床心理学・教育相談が専門の、明治大学文学部、伊藤 直樹教授にお話をお伺いしました。

LDについての理解が深まり、学ぶ意欲が高まった小学生のBさん

Bさんは読むのは苦ではないのですが、書くことになるとうまくいかず、親や先生から「もっと丁寧にノートを取るように」と、ずっと言われてきました。
板書はもとより教科書や辞書を見ても漢字をうまく書くことができません。小学校高学年になると、テストは毎回のように0点に近い状態になりました。親からは、もっと勉強するようにと叱られ、クラスでは友達にバカにされる毎日で、だんだんと学校生活が面白くなくなっていきました。そして、しだいに授業中の立ち歩きが増え、注意する先生に暴言を吐いたり、「自分なんかいなくても同じだ」と投げやりなことを言ったりするようになっていきました。

この様子を心配した担任が発達支援アドバイザーに相談しました。発達支援アドバイザーは担任とともにBさんの授業の様子を観察したり、提出物の文字や作文の文章を見せてもらったりしました。そして、Bさんには文字を書くことに固有の難しさがあると判断し、保護者と面談し、そのことを伝えました。Bさんが書き取りが苦手なのは、本人が怠けているからではないこと、日々の叱責よりはむしろ丁寧なサポートが必要であることを理解してもらったのです。

その後、Bさんは週に2回、特別な支援を受け、苦手な漢字を中心に書き取りの練習を行うようになりました。Bさんは家庭でも学校でも叱られることが減り、また、授業でも苦手な書き取りを自分のペースで進められるようになったため、学校生活が楽しくなっていきました。Bさんは、中学では特別支援学級を利用しつつ、3年間充実した学校生活を送ることができました。(事例は模擬的事例です。)

最終回は、子育てに際し、保護者に心がけてほしいことを紹介します。

#1 特別な支援を必要とする子どもとは?
#2 学校はどのような取組みを行っているの?
#3 専門家が加わることで、子どもはどう変わる?
#4 友だち関係のつまずきから不登校になった中学生のAさんへのサポート
#5 LDについての理解が深まり、学ぶ意欲が高まった小学生のBさん
#6 子育ての悩みや不安の解決のために

プロフィール

伊藤 直樹

明治大学 文学部 教授

研究分野
臨床心理学・教育相談(思春期・青年期における学校での適応に関する研究)
研究テーマ
学校の中にある相談室の機能と役割についての考察から、より効果的な援助技法の開発を試みています。
【キーワード】思春期・青年期、学校、適応
主な著書・論文
  • 『教育臨床論—教師をめざす人のために』(編著・批評社・2009年)
  • 『生活リズムが乱れると何が問題か−睡眠リズムの乱れと心の成長・発達−』(児童心理・2015年6月号)
  • 『教育相談の視点から見た自閉症スペクトラムのある思春期・青年期の若者たちへの臨床的アプローチの課題』(自閉症スペクトラム研究,第10巻,1-10・2013年)
  • 『教育相談の視点から見た臨床心理学研究の動向と今後の課題』(教育心理学年報,第52集,77-89・2013年)

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2017年3月26日
2016年度明治大学卒業式を挙行しました
2017年3月24日
駐日米国臨時代理大使が明治大学に来校 —学生によるキャンパスツアーも実施
2017年3月24日
【理工学部】電気電子生命学科井家上哲史教授がフェローの称号を授与されました
2017年3月21日
JMOOC講座「安全の共通理念を学ぶ 安全学入門」(無料)の受講を受付け中
2017年3月17日
京王線明大前駅の列車接近メロディーが明治大学校歌に —3月25日(土)始発から—
2017年3月17日
校友会熊本県支部と明大マンドリン倶楽部が熊本地震被災地で復興支援の特別演奏会を開催
2017年3月17日
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国際武器移転史研究所研究叢書2 榎本珠良編『国際政治史における軍縮と軍備管理』2017年3月刊行
2017年3月23日
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—3月25日(土)始発からー京王線明大前駅の列車接近メロディーが明治大学校歌に! ~京王沿線で校歌の導入は初!~
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