Meiji.net

2017.03.01

ダイバーシティの根幹に触れるヒューマンライブラリーの取組み

ダイバーシティの根幹に触れるヒューマンライブラリーの取組み
  • Share

最近、ダイバーシティ(Diversity:多様性)という言葉をよく耳にします。企業の間でもダイバーシティ・マネジメントが注目されているといいます。しかし、そのためにはどんな取組みが必要なのか。本学の横田ゼミが行っている「ヒューマンライブラリー」に、その答えのヒントがあります。

「異文化間教育」は「外国人」の問題だけではない

横田 雅弘 私の研究領域は、「異文化間教育」です。特に、海外からの留学生など、日本とは異なる文化をもって日本に来る人たちについて研究していました。その一環として、外国から来た人たちを支援するボランティア団体を1988年に立ち上げました。このボランティア団体には、学生や主婦など様々な人たちが参加してくれたのですが、男女間や世代間でコミュニケーションがあまり上手くいきませんでした。例えば、在職中に数々の海外赴任をしてきた、いわゆる国際人といわれる男性が退職後に参加してくれたのですが、団体で行っていた会計のやり方を「おばちゃんの家計簿」と揶揄したりするのです。これではメンバーの主婦の人たちと上手くいくはずがありません。国際人といいながら、地域社会で自分のできる範囲でがんばってくれている多様な方々の参加の仕方も理解してもらえないのか。そう考えると、異文化間教育とは、なにも外国人だけを関心領域にするものではないな、と思い始めました。

 そこで、私の前任校の授業で、一生のうちに一度も話す機会がないかもしれない人たちに会って話を聞き、その体験をワークショップで発表するという取り組みを始めました。例えば、ホームレスの人であるとか、ゲイの人、神父さんなどから話を聞いてくるのです。すると、ほとんどの学生が、事前に抱いていたイメージと、実際に会って聞いた話とではものすごいギャップがあり、ショックを受けたというのです。異文化間教育のテーマは「国際」だけでなく、私たちの周りに普通にある「文化際」的なものも含まれるのだと思うようになり、私の研究関心も広がりました。

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

  • Share

あわせて読みたい