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うつ病の対処に必要な「援助希求」という能力

明治大学 文学部 教授 諸富 祥彦

新型うつの対処はスモールステップ

諸富祥彦 こうした責任感の強い人が罹りやすいうつに対して、最近、若い世代に多いうつは、仕事がうまくいかない理由が自分ではなく、周りにあると考えるケースです。自分のことを周りの人は誰も理解してくれないと思い込み、仕事にやる気が出ない、頑張れないといった状態に陥ります。こうしたケースでは、就業中は元気がないものの、気の合う仲間とのアフター5では元気になるので、怠けているだけとみられることも多いのですが、働けないのは会社にとっても本人にとってもマイナスなのですから、やはり治療が必要です。
 原因のひとつは、少年期からずっと、自分を理解しようとしてくれる大人に囲まれて育ってきたことがあげられます。両親はもちろん、小学校から大学まで出会った教師、すべての大人が自分を理解しようと努め、自分を褒めてくれる、物わかりの良い人たちばかりだったので、周りの大人は自分のことをわかってくれて当然だと思うようになるのです。その結果、社会に出て初めて現実に直面し、どう対処すれば良いのかわからなくなるのです。
 こうした新型うつの場合、カウンセラーは彼の良き理解者となることから始め、徐々に社会の視点を身につけることができるようにカウンセリングしていきます。そして、いま自分ができる小さなことでよいから、それを見つけ、ひとつずつできることを増やしていくようにします。これをスモールステップの原則といいます。苦境に陥ったとき、そこから回復できる人は、小さなできること探しが上手い人です。私たちは、彼がそうなるように援助します。

カウンセラーに気軽に相談しましょう

 現代では、うつをはじめとした精神障害に陥る人はますます増えていくと思われます。また、精神の病はなくても、なにかの人生の悩みを抱えている方は少なくないでしょう。そのとき大切なのは、援助希求できる環境があることです。援助希求し合える社会を構成していくことは、いまの私たちの課題であるといえます。カウンセラーはその一員です。かかりつけのお医者さんをもつような感覚で、カウンセラーを気軽に利用してほしいと思います。

■心の健康に関する悩みや相談をお受けしています
明治大学 心理臨床センター https://www.meiji.ac.jp/ccp/  Tel.03-3296-4169

※人間性心理学や、トランスパーソナル心理学を基に、自分の内面を深く見つめて内面的成長を図るワークショップを行っています。詳しくは、「諸富祥彦のホームページ」をご覧ください。

諸富祥彦のホームページ http://morotomi.net/

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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