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2015.08.21

戦争の記憶を未来に活かすために

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本当の意味で歴史に学ぶために

 いま、集団的自衛権の行使を含んだ安保法案が国会で可決されようとしています(8月21日現在) 。同盟国が攻撃されたとき、それを助けるために武力行使するのは時代の流れであり、だからといってそれが直ちに戦争に結びつくものではないという理屈ですが、仮定の論拠ばかりで、偏った不十分な議論ではないでしょうか。75年前のことをいま一度、思い返してほしいと思います。中国における日本の軍事行動を非難したイギリスやアメリカを日本は敵対国と見なし、ドイツ、イタリアと三国同盟を結び、この同盟国と歩調を合わせるように世界大戦へと突き進んでいった事実を。当時、国際的に孤立した日本が、ドイツ、イタリアと同盟を結ぶことがなければ、イギリスやアメリカを相手に戦争を起こすことはなかったのではないか。同盟国は、時として自国に実力以上のことができる気を起こさせることを、日本はすでに体験しているのです。
 「歴史に学ぶ」とはよくいわれることですが、そのためには、過去の歴史と現在の自分がつながっているということを認識することが重要です。そのためには、自分たちの歴史に興味をもつきっかけが必要でしょう。70年前の戦争の記憶が家族間で継承しづらいのが実情であれば、地域の歴史の中から学ぶことが必要だと考えます。「明治大学平和教育登戸研究所資料館」のように地域の歴史を発掘し、それ故にリアリティをもつ施設は全国にたくさんあります。いまに生きる自分も、歴史の中で生きていることを実感できれば、本当の意味で、歴史に学ぶことができるようになると考えています。

>>英語版はこちら(English)

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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