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2015.06.01

18歳選挙権の背景と間接民主制の危機 ―求められる公民としての資質―

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国会議員は国民の代表か、地域の代表か

井田正道教授 ――現在の日本の間接民主制、デモクラシーをどのようにお考えでしょうか。

「18歳選挙権」よりも、今の日本の代表民主制で大きな問題と思われるのが、「一票の格差」でありそれに伴う「合区問題」です。最高裁は法の下の平等に基づき「一票の格差」を違憲としました。憲法の条文に則れば必然の結果です。そして一票の格差を是正するため人口の少ない県を隣県と合わせる「合区」が議論されています。強く反発したのが合区の対象となる県。ここには構造的問題があります。憲法で国会議員は国民の代表と規定しています。しかし実態は、自分たちの地域(都道府県)の代表を国会に送り込むというのが住民の意識。国会議員は地域の代表なのか、国民の代表なのか。つまり、日本の代表(間接)民主制とは何なのか、ということが問われている事態が発生しています。
「合区問題」のみならず、様々な局面で間接民主制の意味をもう一度見直す必要があります。民主主義を維持する不断の努力と、現状が果たしてこれで良いのかと問いなおす作業を継続しなければなりません。そのためにも、国民一人ひとりの公民的資質、政治的成熟度の向上が求められていると考えています。

 ――本日は、ありがとうございました。

※掲載内容は2015年6月時点の情報です。

>>英語版はこちら(English)

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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