明治大学の教授陣が社会のあらゆるテーマと向き合う、大学独自の情報発信サイト

同性パートナーシップ条例と多様性国家・日本 ―内向きな愛国心が日本をダメにする―

鈴木 賢志 鈴木 賢志 明治大学 国際日本学部 教授

多様性を受け入れることが希望をつくる

鈴木賢志教授 ――多様性を受け入れる寛容な社会こそが、健全と思われます。そのためには、何が求められているのでしょうか。

私は日本人の価値観も研究対象の一つとしていますが、その中で日本の若い人たちが、諸外国に比べて将来に希望を持てないという現象に注目しています。内閣府が2013年に実施した『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』によれば、自分の将来について希望を持てるという日本の若者は1割を少し超える程度にすぎません。私は、こうした閉塞感に風穴を開ける1つの方法が、多様性を受け入れることであると考えています。特に若い人々は、世界を見ること、感じることが必要です。たとえば、学生の中でも海外に出て国際的な活動に取り組んできた人は、相対的に将来への希望が高くなる傾向があります。画一的、単子眼的であると社会は一層閉塞するでしょう。視野を広く持つことは、多様性を受け入れる第一歩になります。
今後、日本のポテンシャルを上げていくためには、多様性を受け入れる社会を創造する必要があります。そのためには、複眼的に世界をそして日本を理解していくことが、異質な他者を受け入れる土壌を培っていくと思われます。多様性を排除する内向きな愛国心は、かえって日本をダメにします。国民の将来への希望も、そこから生まれる幸福感も、それに伴う日本の国力回復も、多様性を受け入れることから始まると考えています。

 ――本日は、ありがとうございました。

※掲載内容は2015年4月時点の情報です。

>>英語版はこちら(English)

※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

社会・ライフの関連記事

「道の駅」には、地域活性化の拠点となるポテンシャルがある

2024.3.14

「道の駅」には、地域活性化の拠点となるポテンシャルがある

  • 明治大学 商学部 特任准教授
  • 松尾 隆策
行政法学で見る「AIの現在地」~規制と利活用の両面から

2024.3.7

行政法学で見る「AIの現在地」~規制と利活用の両面から

  • 明治大学 法学部 教授
  • 横田 明美
LGBTQ問題の法整備の遅れと最高裁の視点

2024.2.29

LGBTQ問題の法整備の遅れと最高裁の視点

  • 明治大学 専門職大学院 法務研究科 教授
  • 清野 幾久子
地球のエネルギー問題・環境問題を解決へと導く人工光合成

2024.2.22

地球のエネルギー問題・環境問題を解決へと導く人工光合成

  • 明治大学 理工学部 准教授
  • 岩瀬 顕秀
COVID-19による経済への影響と支援策から見えた、日本の危機

2024.2.15

COVID-19による経済への影響と支援策から見えた、日本の危機

  • 明治大学 専門職大学院 ガバナンス研究科 教授
  • 加藤 竜太

新着記事

2024.03.21

ポストコロナ時代における地方金融機関の「新ビジネス」とは

2024.03.20

就職氷河期で変わった「当たり前の未来」

2024.03.14

「道の駅」には、地域活性化の拠点となるポテンシャルがある

2024.03.13

興味関心を深めて体系化させれば「道の駅」も学問になる

2024.03.07

行政法学で見る「AIの現在地」~規制と利活用の両面から

人気記事ランキング

1

2020.04.01

歴史を紐解くと見えてくる、台湾の親日の複雑な思い

2

2023.12.20

漆の研究でコーヒーを科学する。異色の共同研究から考える、これか…

3

2023.09.12

【徹底討論】大人をしあわせにする、“学び続ける力”と“学び続けられ…

4

2023.12.25

【QuizKnock須貝さんと学ぶ】「愛ある金融」で社会が変わる、もっと…

5

2023.09.27

百聞は“一食”にしかず!藤森慎吾さんが衝撃体験した味覚メディアの…

連載記事