2024.03.21
急速な円安と日銀の量的金融緩和策の弊害 ―バランスのとれた、柔軟な金融政策運営を―
打込 茂子 明治大学 名誉教授(元商学部教授)(2023年3月退任)柔軟な金融政策運営と成長戦略の推進を急ぐべき
こうした矛盾や弊害は、政策の行き詰まりを示すものと言わざるを得ません。ここはやはり、インフレ目標の修正・柔軟化など、日銀への信認を損なわない形での政策見直しが必要です。具体的には、①目標達成期間の長期化 ②他の指標も含めた総合的判断への移行・・・といったことが挙げられます。原油価格の大幅下落という、日銀の金融政策では制御できない事態を逆手にとって政策柔軟化に踏み出すべきでしょう。よりバランスのとれた金融政策の実行が必要です。
同時に、政府としても金融政策への依存から脱却し、”第三の矢”である成長戦略の推進、とくに大胆な規制緩和によって生産性、競争力を高め経済の活性化を図っていくことが求められます。
【補】日銀の量的緩和と国債購入:日本銀行の「量的金融緩和政策」は、日銀が市場から長期国債など金融資産の購入を拡大し、その代金支払いのかたちで資金供給量(マネタリーベース=流通現金+日銀当座預金)を増加させるもの。代金支払いの結果、日銀にある金融機関の当座預金残高が増加する。
※掲載内容は2014年12月時点の情報です。
※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。