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人口減社会における地域社会のあり方 ―個を大切にするとともに、輪をつくろう―

碓井 光明 碓井 光明 明治大学 専門職大学院 法務研究科 教授(2017年3月退任)

都市でも農山村でも、コミュニティがオープンになることが重要

碓井光明教授 都市と農山村の関係が密になるには、それぞれのコミュニティがオープンになる必要がある。ここまで農山村のコミュニティについて論じてきたが、実は問題となるのは、都市のコミュニティである。農山村のコミュニティも閉鎖的だが、都市においては、閉鎖的というよりも、コミュニティがないといった方が正確かもしれない。そこで行政は、マンションに集会場をつくりましょう、子育てマンションを認定しましょうと、条例などによってコミュニティづくりを促進しようとしている。
都市部の人口の多くを占める会社員の間では、会社がコミュニティになっている。会社の輪は、会社の輪で結構だし、スポーツや文化活動などの輪もある。都市の中でも数多くのコミュニティが機能すれば、交流するチャンスが増え、カップルも増えるだろう。都市にも農山村にも輪が増え、輪が絡まり合っていけば、人口問題の解決にも貢献するかもしれない。都市における人々の孤独をどのように解消するかという問題も、都市と農山村の交流の輪の中に、解決の糸口が見つかると思われる。
人口問題に特効薬はないだろう。だから自然体で無理をせず、だけどちょっぴり新たな関係づくりへと努力することが大切だと考える。人口が減少しても、個を大切に、輪をつくり、輪の中で楽しんで、幸せを感じていける社会の実現こそが、いま一番求められているのではないだろうか。

※掲載内容は2014年10月時点の情報です。

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※記事の内容は、執筆者個人の考え、意見に基づくものであり、明治大学の公式見解を示すものではありません。

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